全国で「高市旋風」が吹き荒れた衆議院選挙。福井県内でもその影響は色濃く、これまで衆議院議員4人のうち1人だけだった自民党議員が、一挙に3議席を獲得する圧勝劇だった。参議院を含めると国会議員5人すべてが自民党となり「保守王国福井」の復活を印象付けた。しかし、その裏では党本部と県連の間に残る“しこり”や課題も山積している。歴史的圧勝は、福井に何をもたらすのか。福井テレビの報道番組「タイムリーふくい」に県選出の衆議院議員3人を招き、話を聞いた。
「初心に戻って必死に…」8選を果たした稲田氏
福井1区では、自民党の稲田朋美氏が9万3000票余りを獲得し、8回目の当選を果たした。中道の前職を含む4党の候補者が争う激戦区となった選挙戦を、稲田氏は「本当に厳しい選挙戦だった」とし「初心に戻って伝統と創造、それから20年間の経験と人とのつながりで、すべての力を福井へということを必死に訴えた結果だった」と振り返る。
福井1区の大票田である福井市では、衆院選直前の知事選で保守分裂の選挙戦となり、その“しこり”を心配する声も上がっていた。稲田氏自身も「政策なき分裂は絶対避けるべきだ」と訴えてきたが、分裂は避けられなかったとする。
しかし、選挙戦では「早い段階から市議、県議、後援会や企業団体も戦える体制を構築してもらえた」と陣営の結束を強調した。
「いわゆる崖っぷちだった」小選挙区では初当選の斉木氏
一方、福井2区では斉木武志氏が7万8000票余りを獲得し、4選。これまでは比例代表での当選で、小選挙区では初勝利だった。斉木氏は「私の場合は無所属で自民党からの支持、いわゆる比例復活のない選挙区一本勝負だったので、いわゆる崖っぷち、背水の陣からの戦いでした」と、その厳しさを語る。
衆院選に出馬するにあたり、斉木氏は自民党福井県連に公認申請願いを出していたが、認められなかった。だが、県連の意向を無視する形で自民党本部が斉木氏に「支持」を出した。
この党本部の決定に反発した県連は一切、斉木氏を応援しなかった。その影響について「正直それはありましたね」と認めつつ、「人って理屈じゃない、感情じゃないですか。私の場合、ずっと自民党さんとバチバチと戦ってきたわけです。それが党本部が支持したからといって、じゃあすぐ地方議員全員で応援しろとはならないことは、私も十分理解できる」と述べた。
斉木氏が当選した福井2区では、複数の地域支部から斉木氏の自民党入りを回避するよう要望書が提出されていたが、党本部は斉木氏に追加公認を出した。次の選挙で福井2区の公認候補予定者となる支部長が誰になるのかが注目されるが、「私のこれからの努力に非常にかかってる」と語り、まずは間近に迫る地方選挙で共に汗をかくことから、信頼関係を築いていきたいとした。
「正直言って勝ちすぎ」…歴史的圧勝に警鐘
今回の衆院選で、自民党は改選前から118議席を上積みし、316議席を獲得。全体の3分の2を占める歴史的圧勝となった。この結果、参議院で法案が否決されても衆議院での再可決が可能となり、政権運営の“安定性”は格段に増す。
比例代表・北陸信越ブロックでは、内閣府からの出向でかつて大野市副市長を務めた今洋佑氏が初当選を果たした。今氏は「これだけ自民党への期待が寄せられたということで、日に日に重みを感じている」と述べた。
斉木氏は、国際情勢の不安定化を背景に「高市さんのような強いリーダーシップを持って、トランプさんとも対等に話ができるような強さを求めた部分があるのかなと思う」と分析した。
この圧倒的な数の力について政治ジャーナリストの橋詰武宏氏は「正直言って、勝ちすぎかな」と警鐘を鳴らす。「一党で何事も決めることができる政治の状況にはなったが、やはり政治はバランスは大事だ」と訴え「勝っておごらず、いかに野党の意見をよく聞くか」とバランスの取れた国政運営を求めた。
稲田氏も「数が多くて実現できるにもかかわらず、約束したことができない場合、やはり期待が失望に変わる」と、数の力に伴う責任の重さを口にした。
※【シリーズ2】につづく
