現在、「売る側」の「勧誘行為」や「客待ち行為」などのみを処罰対象としている売春防止法。

政府は「買う側」を処罰の対象に加えるかなどについて議論するとみられる、有識者を集めた検討会を年度内にも開きます。

売春目的での客待ち行為が各地で取り締まられる中、果たして問題解決に至るのでしょうか。

■「売る側のみ罰則」から「買う側も処罰」なるか? 議論はじまる

【記者リポート】「男性が路上に立っている女性に声をかけています。男性はホテルへ入っていきました」

今も後を絶たない売春を目的に路上で客待ちする行為。
そんな中、ある動きがー。

現在の「売春防止法」では「売る」「買う」ともに禁止されているものの、罰則が設けられているのは、「売る側」のみ。

法務省は去年、高市総理からの指示を受け、国内の実態などを調査していました。

そして10日…

【平口洋法相】「売買春にかかる規制の在り方について、幅広い知見等に基づいて議論いたただくことにします」

有識者を集めた検討会を年度内にも開くことを発表。

「買う側」を処罰の対象に加えるかなどについて議論を進めるとみられます。

■「ホスト行き始めたから」売春理由を話す女性

売春目的での客待ち行為をめぐっては、3年ほど前から新宿・歌舞伎町で摘発が相次ぎ、newsランナーは客待ちをしていた女性に話を聞いていました。

【女性】「ホスト行き初めたから、ここにいる」
(Q.結構行かれたりするんですか?)
【女性】「毎日行ってる」

客待ち行為をしている多くの女性が借金を抱えているといい、社会問題にもなっています。大阪でも「客待ち」をする女性が多く見られました。

(Q.いくらくらいでやってるんですか?)
【女性】「相場くらい」
(Q.なんで立っている?)
【女性】「まあ、いろいろ」
(Q.稼ぎたくて?)
【女性】「そうそうそう」

■客待ち女性の間で「取材情報」が共有されている…

【大阪府警による呼びかけ】「売春目的で客待ちをしている女性の皆さん、その行為は犯罪です」

警察は度々、摘発に乗り出しましたが、”イタチごっこ”の状態。

大阪・梅田の太融寺町では、道路を明るい黄色に塗り替えるなど、対策をとりましたが、「客待ち行為」は後を絶ちません。

記者が話を聞きに行きにいくと…

【記者】「関西テレビで取材してて…」
【女性】「ほんまに大丈夫(取材結構です)」
【記者】「人通りって変わってます?」
【女性】「知らん。無理だろって、(取材)あきらめろって」

別の女性に取材を試みるも…
【女性】「記者?」
【記者】「はい…」
【女性】「情報回ってるからやめたほうがいいで。なんも言わんよ、帰り」

記者が取材していることが、女性たちの間で共有されていました。

■「今日はじめて大阪で女の子買えた」という男性は

こうした状況で検討されることになった「買う側」の罰則。

そんななか、10日も…

【記者リポート】「男性が女性に声をかけています。男性と女性が一緒にホテルに入っていきました」

取材班がホテルから出てきた男性に声をかけると…

(Q.今声かけていた?)
【“買春”をしたという男性】「今しましたよ。はじめて女の子を大阪で買えたんですけど。買えたって失礼ですけど」

■会話は最低限のみ 摘発逃れのため「ナンパ」を装う…

女性に金を払い、買春をしたという男性。記者に語ったのは、女性たちが摘発を逃れるためにとっている”対策”でした。

【“買春”をしたという男性】「まず目が合うかどうか。目が合って、女性が『こんばんは』とか言うじゃないですか。その時に『暇してる?』とかいってナンパを装うんですよ。

で、『暇してるよー』ってなったら『イチゴーいける?』って。『イチゴー』というのは1万5000円。これが最低単価。

気をつけなあかんのが、女の子が『行くね』って言って、ホテルに入る時に限って、私服の警察官やったら、『逮捕』って言われる。

だから女の子は最低限の『うんうん』とか、『行こか』って、ナンパについていく体を装う」

■“買春”をしたという男性「買う側」の”罰則検討”に「めちゃめちゃ反対」持論展開

「買う側」の”罰則検討”については…

【“買春”をしたという男性】「僕、めちゃめちゃ反対派なんです。それで助かっている女の子たちどうすんの?

女の子がどこいくかっていったらアングラ化する。海外の、よりヤバい客のところに身売りをする。出稼ぎ売春」

男性は自身の行為を正当化するような持論を展開し、去っていきました。


■「根本はホストクラブ」支援団体の危惧

売春を繰り返す若者を支援する団体の代表は、「”買う側”の罰則を早く設けるべき」としたうえで、こう指摘します。

【日本駆け込み寺・清水葵代表理事】「買春側が罰則規定が設けられた後には、おそらくSNSとかそういったチャットを通した売買春が繰り広げられるんじゃないかなとは思いますね。

その根本にあるのは、やっぱりホストクラブですので、1人ではなかなか夜から昼に変えられなかったりとか、金銭感覚のずれをちょっとずつなくしていかないといけなかったりとか。

抜け出すため援助・手助けっていうのはやっぱり必要不可欠じゃないかなと」

この”いたちごっこ”の状態は、いつまで続くのでしょうか。

■橋下氏「完全禁止できるのか」「管理されたところで自由意思での勧誘行為ならいいのでは」と持論展開も

この「買う側の処罰」などを巡って、橋下徹さんと元テレビ朝日アナウンサーでもある西脇亨輔さんの2人の弁護士が激論をかわしました。

【弁護士・橋下徹さん】「不公平は正さなきゃいけないし、それから、困っている人をサポートすることは間違いないんですが、『売る側』も『買う側』も両方とも本来罰則はないんです。

何が問題かというと、『売る側』の『客待ち行為・誘う行為=勧誘』罰則なんですよ。ということは、買う側も公平にしろと言ったら、『買うために待つ』行為、それから『買うために勧誘する行為』(を罰する)。

買う側はその行為ってあんまりないんですよね。だからやろうと思ったら、今の売春防止法を抜本的に変えて、売る行為も買う行為も両方ともアウトにする。両方もう完全に禁止する。

僕は、その完全禁止が本当にできるのかと。これが全部潜っていって、反社会勢力の方になるんじゃないかっていう危惧があるので。

『売る側』の客待ち行為などが風紀違反で処罰になってるんだけど、それだったら管理されたところで、反社会勢力が入ってこずに、本当に自由意思のもとに安全を守った上での勧誘行為だったらいいんじゃないかっていうのは僕の持論であります」

■「法律で『これは駄目』ということを示し徹底して執行も」と西脇弁護士

【弁護士・西脇亨輔さん】「確かに橋下さんがおっしゃってる形で政策をとってる国もあるんですよ。でも一方で、やっぱりこれを禁止しているっていう国もある。

日本は売春防止法があって、その第1条には売春に関してこう書いてあるんです。『人としての尊厳を害し、性道徳に反し、社会の善良な風俗を乱すもの』と。

やっぱり人としての尊厳を害するんじゃないかっていうところからスタートしているので。

そういった意味でやはり法律でちゃんと『これは駄目なんだよ』ということを示す。そのことによって社会の意識もどんどん変わっていくかもしれない。

ただその上でアングラ化とかそういうことはなっちゃいけないので、もうやるんだったら徹底して法律を作るだけじゃなくて、執行もしていく。

そこまで含めてセットで抜本的に考えなきゃいけないと思うんですよね」

【弁護士・橋下徹さん】「売春自体を『道徳に反する』とか言いながら、禁止はしているけど、売る行為も買う行為もずっと処罰対象にしていなかったんですよ。

それを本当に禁止にして、マンパワーを割いて、警察組織・捜査機関が全部摘発できるのか。

僕は違法薬物とか闇カジノは、警察が一生懸命摘発してるけど、果たして売買春行為を全部摘発できるマンパワーであるのかってのは疑問なんです」

【弁護士・西脇亨輔さん】「でも売春防止法ができて、もう70年になるので、そろそろそれを考えてもいい時期なんじゃないかなと私は思います」

【弁護士・橋下徹さん】「だから客待ち行為が風紀違反なんだったら、安全・自由、それから支援策をもっての厳格管理ルールのもとでの勧誘行為…多分これは少数派でしょうけどね」

罰則対象をどうするのか。罰則を強化するのかどうか。深い議論が必要なようです。

(関西テレビ「newsランナー」 2026年2月11日放送)

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