改憲ラインに足りなくても「残念」ではない

フジテレビの選挙特番「Live選挙サンデー令和の大問題追跡SP」を観ている。選挙特番を家で観るのは実は初めてだ。20年位前は議席予測の責任者だったので、スタジオで胃をキリキリさせながら「よし!自民は50割れで行こう!」とかやっていたのでフシギな気分だ。

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フジの議席予測は自民57、公明13、立憲20、共産8、維新9、国民5、れいわ2。事前予測より少し減ったが、まあ自民の勝ちと言っていいだろう。

注目の改憲勢力による2/3だが、自民、公明、維新を足すと81議席。非改選が79議席あるので足して160議席。2/3の164議席には4議席足りなかった。

これについて特番で橋下徹さんが「残念」と言っていたが、あれは間違っている。残念ではないのだ。


分裂危機の国民民主がターゲットに?

というのは「4議席だけ足りない」というこの数字は安倍首相が改憲するにあたって悪い数字ではないのだ。前回2016年の参院選以来3年間、改憲勢力で2/3持っていたにもかかわらず安倍政権は改憲で無理をしなかった。というか無理できなかった。つまり与党と維新だけで無理に発議しても国民の反発を買い、国民投票で否決されるのが怖かったからだ。なので安倍さんとしては別の野党も巻き込みたい。

そしてそのターゲットは改憲に決して慎重ではない国民民主だと言われている。

実は今回、自民が国民民主に票を回したと言われている選挙区がある。そこは自民の当選は確実。国民民主は激しい2位争いをしている。これで恩を売って改憲では賛成に回ってもらう。もちろん国民民主側は否定しているが、あり得る話だ。

国民民主は議席が伸びず、分裂の危機と言われている。これを機に離党者が出る可能性もある。

自民党としては国民民主に丸ごと改憲に賛成してもらうのは無理でも、4人だけ賛成に回らせる、というのは決して荒唐無稽な話ではない。

つまり改憲勢力が2/3に4議席だけ足りない今、改憲は以前より現実的になったということなのだ。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】

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平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ報道局上席解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て現職。