高市早苗首相が施政方針演説で強調した来年度予算案の年度内成立について、野党やメディアが反対しているようだがなぜダメなのか私にはわからない。多くの国民も同じ気持ちだと思う。

与党は年度内成立のため、土日や夜間に審議することや与党の質問時間を削ることを検討している。

「日曜報道 THE PRIME」に出演した中道・階猛幹事長
「日曜報道 THE PRIME」に出演した中道・階猛幹事長
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この「休日返上」について22日のフジテレビ「日曜報道THE PRIME」で聞かれた中道改革連合の階猛幹事長は「閣僚は答弁の準備とか、それを支える官僚や国会職員の皆さまも大変」と述べて慎重な考えを示した。

この階氏の発言に「ムムム」と思った人は多いだろう。

野党の質問で“官僚徹夜”の過去

というのは立憲民主党やその前身の民主党など一部野党はこれまで「質問通告」が遅く、答弁を用意する省庁の官僚が徹夜作業を余儀なくされ、ブラック職場になっているという批判を受けてきたという過去があるからだ。

「質問提出が遅い」と指摘されることも
「質問提出が遅い」と指摘されることも

元総務官僚の樋渡啓祐氏はXに、「とにかく野党の(質問の)締切が遅い。菅直人、長妻さんには本当に悩まされた。特に前者は午前零時を越して追加質問。関係省庁と答弁のすり合わせをして終わるのが朝4時」と投稿している。

年度内成立に自民からも反対の声

来年度予算案は27日の衆院予算委員会から実質審議に入る。これまでは衆院1ヶ月、参院1ヶ月の2ヶ月くらいかかっていたので、成立は連休前だろうと当初は見られていた。これに対して野党やメディアは「予算成立が遅れれば国民生活に支障が出る」と批判していた。

年度内成立に舵を切ったが…
年度内成立に舵を切ったが…

高市首相は衆院選大勝後に予算案の年度内成立にカジを切ったのだが、自民党内にも反対の声がある。

梶山弘志国対委員長は、当初この首相の方針に慎重な姿勢を示したと言われている。国会対策の現場からすれば2カ月かかる予算を半分の1カ月で上げろと言うのは正気の沙汰ではない。

たとえ与野党で激しく火花を散らしても、譲るところは譲るというのが自民党の国対のやり方だったからだ。

また19日付の朝日新聞が「一強、早速にじむ国会軽視」という記事の中で「国会は国権の最高機関」であり「国会審議を軽視することはその背後にいる有権者を軽んじることにほかならない」と、こちらも首相の「急ぎすぎ」を戒めている。

「ソーリ、ソーリ」

与党は衆院予算委で70~80時間が通例の審議時間を50時間台に圧縮することを検討しているのだが、これに対し中道の重徳和彦国対委員長は「税金の使い道に関する審議をないがしろにするな」と反発している。

しかしなぜ70~80時間と最初から決まっているのか。それが50時間になったらなぜ「ないがしろ」なのかがまずわからない。

その70~80時間かけて行われる審議だが、仕事柄、長い間予算委を見てきた。

「ソーリ!ソーリ!」と厳しく迫った事も…
「ソーリ!ソーリ!」と厳しく迫った事も…

週刊誌に載ったスキャンダルとか予算に全く関係ない質問を延々する人や、クイズを始める人、「ソーリ、ソーリ」と叫んで他の閣僚の答弁を拒否し全て首相に答えさせようとする人、正直、聞くに耐えない質問もかなりあった。

熟議の国会というのは大事だが、これが我々の税金を使って行われているのかと納得できないこともこれまで多くあった。「国民生活に支障が出る」のであれば多少短縮してもいいのではないかと正直思う。

ちなみに与党も「大臣のご決意を伺いたい」などと、質問なのかヨイショなのかわからない人もいるのであれもやめてほしい。

国民民主が同調なら“再可決”不要に

それから「国会は国権の最高機関」というのはわかるのだが、その国会は国民の投票という意思で決まるものだ。

ずらりと並んだ自民党の議員当選の“花” 2026年2月
ずらりと並んだ自民党の議員当選の“花” 2026年2月

今回の衆院選で有権者は高市政権に自民党単独で3分の2の議席を与えた。これはすなわち予算も含めて衆院で可決された法案は参院で否決されても衆院で再可決してよろしい、という民意ではないのかと私は思う。

参院選では惨敗したが…
参院選では惨敗したが…

昨年行われた参院選で与党は過半数を失い、今も5議席足りない。だから野党の意見を取り入れなさいという民意だ。ただしそれは去年の民意。最新の民意はまた別のものなのだ。

国会も大事だが、それよりもスピード感を持って変化を日本にもたらしてほしいという民意があるのではないか。

与党の質問時間をゼロなら…年度内予算成立に理解も
与党の質問時間をゼロなら…年度内予算成立に理解も

野党第2党(衆参合わせると実は野党で一番多いので第1党かもしれない)の国民民主党・玉木雄一郎代表は15日の「日曜報道THE PRIME」で、与党の質問時間をゼロにすることを前提に、「国民生活最優先で判断していきたい」と述べ年度内成立に理解を示した。

国民民主党が同調するなら参院でも過半数に行くので、「3分の2で再可決」という「荒技」を使わなくても年度内成立は可能だ。

チームみらいに抜かれた中道

毎日新聞の週末の世論調査で、チームみらいが政党支持率で中道改革連合を抜き、永田町では衝撃が走った。

政党支持率で中道を上回った
政党支持率で中道を上回った

選挙前から立憲民主党の支持者がみらいに流れている印象だ。みらいもおそらく国民民主のように「対決より解決。政策重視」の態度をとるだろう。中道はその流れに乗り遅れるとさらに支持を失うのではないか。

平井文夫
平井文夫

言わねばならぬことを言う。神は細部に宿る。
フジテレビ客員解説委員。1959年長崎市生まれ。82年フジテレビ入社。ワシントン特派員、編集長、政治部長、専任局長、「新報道2001」キャスター等を経て報道局上席解説委員に。2024年8月に退社。