富山県内で働く人限定のマッチングアプリ「TOYAMA goen」が今年3月から運用開始される。AIが共通の友達役となり、利用者の価値観が近い相手を紹介してくれる仕組みだ。県レベルで地域限定の婚活アプリを導入するのは全国初の試みとなる。

県と企業が連携、勤務先に知られずに利用可能

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今年3月から運用が始まる出会い・婚活アプリ「TOYAMA goen」は、富山県が東京のアプリ会社と共同で運営するサービスである。このアプリの最大の特徴は、県内で働く人に限定している点だ。

利用にあたっては、勤務先の企業・団体がサービスに登録していることが前提となる。導入を希望する企業は、県からの承認を得たうえで会社規模に応じた負担金を支払う仕組みになっている。従業員100人規模の企業であれば、月額約1万円が目安だという。

注目すべき点は、希望する従業員がアプリに登録した後は、勤務先に利用状況が知られることなく使用できる点である。プライバシーに配慮した設計となっている。

少子化の深刻化が背景に

県はこのアプリの構築に2700万円の予算を投入した。この大きな投資の背景には、深刻な少子化問題がある。

富山県内でおととし1年間に生まれた子どもの数は5078人で、9年連続で過去最少を更新している。また、婚姻数も依然として低水準が続いている状況だ。

県知事政策局の川津鉄三局長は「『出会い』『結婚』は本来はご本人が決めてやるべきことだが、実際、富山県の出生数は50年で7割減少している」と危機感を示す。

さらに「結婚したいけど、なかなか出会いがないという人が8割くらいいる。そうした中で、アプリを使えばいいんじゃないかと。民間のアプリはたくさんあるが、やっぱり不安に思っている方も多い」と、今回の取り組みの意図を説明している。

AIが「共通の友達役」に

「TOYAMA goen」の最大の特徴は、人工知能(AI)が「共通の友達役」を担う点にある。

このアプリでは、価値観が近い人などをAIが1日に1人紹介してくれる。さらに、メッセージのやりとりにおいてもAIがアドバイスをくれる機能が搭載されている。

例えば、食事に誘うタイミングやコミュニケーションの深め方についてAIが丁寧にアドバイス。メッセージ内容や進展状況などからAIがパターン分析し、既婚の疑いのある利用者も抽出できるようになっており、万が一のトラブルも防止できる仕組みになっている。

アプリの運営会社Aillの豊嶋千奈社長は「最近の若い人たちをAI解析をしていると、働き方やライフスタイルなど収入よりも価値観で相手を見つけている傾向。そこの価値観が合う他社の人を紹介。富山県でライフステージを進み、次世代に繋いでいく仕組み、おそらく富山県が初めて全国でできるんじゃないかなと」と話している。

富山県民の反応

この取り組みに対して県民からは次のような感想が聞かれた。

「出会う場が少ないので、県が支援してくれるならすごくいいなと」

「県がバックアップしてくれるのはうれしいことかなと」

と歓迎する声がある一方で、

「税金使ってまでやる必要はないかなと」

「そこまで…お節介を焼くことが必要かなと。『個人の勝手でしょ』というか…」

といった慎重な意見も聞かれた。

婚活支援の未来

県レベルで企業と連携した地域限定の婚活アプリを導入するのは全国初の試みである。「TOYAMA goen」が富山県にどのような「ご縁」をもたらすのか、今後の展開に注目が集まる。

行政が婚活支援に本格的に乗り出すことで、少子化対策の新たな可能性が開かれるかもしれない。AIを活用した安全・安心な出会いの場の提供は、富山県発の新しい取り組みとして、その行方が注目される。

(富山テレビ放送)

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