イギリス・ロンドンで、日本産米を使ったおにぎりを現地で広めようとする動きが増えてきている。
ヨーロッパ全体への日本産米輸出量は、2019年には1238トン、2024年には4523トンと、この6年間で約3.6倍に増加した。
2025年11月時点では、イギリスがヨーロッパ内で最大の日本産米の輸出先となっている。

今回は、ロンドンで店を構えるおにぎり店、2店舗を取材した。
TOKYO ONIGIRI
去年12月に開業した「TOKYO ONIGIRI」では、北海道産「ゆめぴりか」と硬水を使い、塩むすびやツナマヨなど、日本でも馴染みのあるメニューを扱っている。

開業を担当したJR東日本英国事業開発の名川進社長は、こう話す。
JR東日本英国事業開発・名川進社長:
まずは本当に美味しいモチモチのおにぎりを食べていただいて、日本へ旅行に行った際にも食べていただけるような循環が作れたらと思っています
名川社長は視察の際、酢飯のおにぎりや寿司から派生したおにぎりが多く見られたため、硬水を使うなど試行錯誤を重ね、日本らしいおにぎりの味を追求したという。
大使館主催の日本食普及イベントに参加したキャストらは、「モチモチしている。のりと完璧なバランス」と話し、米の食感と、のりの塩みとの相性を評価していた。
SOSAKU ONIGIRI
一方、開業から2年5カ月のおにぎり専門店「SOSAKU ONIGIRI」では、オープン当初から、魚沼産「こしひかり」を軟水のミネラルウォーターで炊くことにこだわっている。

最も人気のあるメニューは、高菜と昆布。
日本で馴染みのある食材を使いながらも、黒トリュフやニンニクなど、現地で親しみのある食材を組み合わせて独自の味を作っている。
さらに特徴的なのは、あえてノリを巻かない点だ。
食材の色味を見せることで、味の想像力をかき立てる工夫がされている。
日本人オーナーの深澤雅美さんは…
「SOSAKU ONIGIRI」深澤雅美さん:
初めて食べる方に、おにぎりって美味しいんだと思ってもらえるように、どうしたら受け入れてもらえるのか日々研究している。
取材中も客足は途切れず、地元客の声を聞くことができた。
学生:
もちもちしていてすごく美味しい、サンドイッチと同じくらい便利。
10回以上来店している女性:
オーナーがとても優しくて、おにぎりを作る時の情熱が伝わってくる。味も本当に美味しい。
ロンドンで日本産米は気軽に買える?
日本産米の輸出が増加する背景について、在イギリス日本大使館の氷熊光太郎参事官は…
在イギリス日本大使館・氷熊光太郎参事官:
ロンドンで日本食レストランは大体900軒ぐらい、イギリス全体では1800軒あると言われています。精米だけでなく、玄米の輸出も増えており、全体的に米の輸出が伸びていると考えています。
さらに、イギリスが2024年にTPPに加入したことで、日本産米の関税が撤廃され、輸出拡大の後押しとなっている。
一方、一般消費者にとっては、日本産米(5kg)の小売価格が約4800〜7300円と高めで、店頭では外国産の“Sushi Rice”などと同じ棚に並ぶため、日本産米として認識されにくい状況もある。そのため、消費者が日本産を意識して気軽に買える環境とは言いにくい。
おにぎりに込められた想い
取材した事業者らに共通していたのは「まずは日本産米で作ったおにぎりの美味しさを体験してもらいたい」という想いだった。

日本食の人気が定着したロンドンにて、今、小さなおにぎりが日本産米のもつ本来の味わいを静かに届けようとしている。
(執筆:FNNロンドン支局 中島佑馬)
