理由3:インフレだから

インフレは、お金の価値が下がることを意味します。しかし、金の価格はインフレに応じて上がる傾向があるため、金を保有していることで資産の目減りを防ぐ効果が得られます。

株式投資の名著として知られるジェレミー・シーゲル『株式投資 第6版 長期投資で成功するための完全ガイド』には、1802年から2021年までの200年以上にわたって1ドルを株・長期国債・短期国債・金・米ドルの5つの資産に投資した場合の年次の実質トータルリターン指数の推移が示されています。

【実質トータルリターン指数(1802年〜2021年)】 筆者著『投資の解像度を上げる 超インフレ時代のお金の教科書』(クロスメディア・パブリッシング)より抜粋
【実質トータルリターン指数(1802年〜2021年)】
 筆者著『投資の解像度を上げる 超インフレ時代のお金の教科書』(クロスメディア・パブリッシング)より抜粋

「実質」なのでインフレ率を控除したグラフです。上昇が大きいのは株式であり、年6.9%となっているので、資産形成に株式への投資は欠かせないことがわかります。

金は年0.6%なので、インフレ率を超えて大きく増やせる資産ではありませんが、インフレ率に合わせて金価格も上昇していることがわかるので、インフレに強い資産と言えます。

理由4:円安だから

金価格は為替レートも関係します。世界では金は米ドル建てで取引されていますが、日本国内の金価格はそのときの為替レートで円換算して「1グラム=○円」と公表しています。

2022年1月ごろまで1ドル=115円ほどだった為替レートは、ウクライナショックを機に円安が進行。その後、日米金利差拡大などを背景に円安が進展し、本稿執筆時点の2026年1月20日は1ドル=約158円となっています。

今後も円安傾向は続く見通しです。

米国金利は利下げ局面、円金利は利上げ局面で日米金利差は縮小していくものと見られていますが、足元は円安が進展。

理由の一つは、デジタル赤字の拡大。日本が海外のデジタルサービス(クラウド、動画配信、アプリ、広告など)を利用する代金の支払いが、日本が海外から受け取るデジタル関連の収入を上回り、収支が赤字になる状態を指します。デジタル赤字の拡大が、円安の加速要因になっています。

もう一つは、地政学リスクでもある「米中の対立」です。以前は地政学リスクが高まった時は、日本円は逃避資産として人気があり「円高」になっていました。「遠い戦争は日本円への回避」だったわけですが、米中対立は日本が最も近い位置にいます。日本の国力が下がっているという問題もありますが、日本円は今や安全資産ではなくなってしまったのです。

米中対立に伴い日本円が回避されているので、円安が進展している状況です。米中の覇権争いは今後も続くため、円安傾向も続いていくでしょう。そうなれば、金価格も上昇していくことになります。