19日、解散総選挙に向けた決意を語った会見で、食料品の消費税を2年間ゼロにすることについて、「私自身の悲願でもありました」と話していた、高市早苗首相。

しかし、この発言について、立憲民主党の野田佳彦代表は、過去に高市氏が発言したことと“矛盾”があるのではないかと指摘します。

立憲民主党 野田佳彦代表:
(以前、高市首相が)「レジの準備などがあって間に合わない」とか即効性のお話をいろいろされていたので、なんで急にその気になったのか。消費税に関する発言ぶれすぎていますよね。

実際、高市氏は2025年11月の国会では、消費税率の引き下げについて、「事業者のレジシステムの改修などに、一定の時間がかかる」として、減税に消極的な意見を述べていました。
しかし、一転、消費税減税は「悲願」と語った高市氏。突然の方向転換の理由は?果たして実現は可能なのか、専門家に詳しく聞きました。
5兆円の財源は?消費税減税で負担は本当に軽くなる?
谷原章介キャスター:
きのうコンビニで「チーかま」を買ったんです。それが、僕の中のイメージだと298円くらいだったのが、380円くらいして。消費税がなくなることはすごく助かるんだけど、それ以前に20%くらい値上がりしちゃっていると、じゃあ消費税だけで足りるのか、他にも色々な対策をしてほしいんじゃないかと思いますね。

入江陵介氏:
食料品の消費税が減税されるのはありがたいですが、そこだけじゃないじゃないですか。
結局そこが減っても違うところで税金がプラスされるんじゃないかなと思ってしまったり。そもそも物価が上がっているので、消費税が減っただけでは解決できない気がします。

本当に消費税減税によって、家計負担が“実感”として減るのでしょうか?
京都大学研究員でエコノミストの崔 真淑(さいますみ)氏は、海外の事例から楽観視はできないと話します。

エコノミスト 崔 真淑氏:
ヨーロッパのいろんな国でこれまで経済対策として消費減税をしてきたことがあるのですが、結局こうしたインフレの環境だと、10%減るよねと言っても、その分どんどん食料品価格も上がっているので、「たいして下がらなかった、物価もあまり下がらなかったよね」ということがたくさん起きていたんですね。
なので、生活に困っている人に対して、何かしらのケアのためにするというならば、ありだとは思うのですが、これによって物価がすぐ下がるか、支出がすぐ下がるかというと、ちょっと分からないところはあります。

さらに、食料品の税率をゼロにすることで、年間約5兆円の税収入が減ることから、「どこかで増税するのではないか」「日本国債に対しての信頼が落ちるのではないか」という懸念が噴出し、短期的にはよく見えるが、長期的に見ると“うれしくない”可能性があるといいます。

ジャーナリスト 岩田明子氏:
自民党、維新の方は(減税期間を)2年間と限定していますから、5兆円✕2、補正予算でもこのくらいの規模はあり得る。また、時期についても言っていませんので。(消費税減税については)マーケットから信頼されるような説明が必要だということと、マーケットが納得するような財源が確保できたときと、タイミングについても財源の説明についても、マーケットの信頼を得ながら物価高対策もしていくと。その両にらみだと思うんです。
一方で、野党、特に新党は日本版ソブリン・ウェルス・ファンド(政府系ファンド)を財源にするとか、恒久減税と言っているところがありますが、5兆円をずっとというのは、これは現実的なのかさらなる説明が必要だと思いますし、ファンドから捻出するときに、運用が失敗してしまったら誰が責任を取るのか。こういうところもきちんと説明していただかないと、なかなか安心できないのかなと。
マーケットの動きを注視…減税しない可能性も
佐々木恭子キャスター:
消費税は、低所得の人ほど負担を感じやすい「逆進性」という言い方をしますが、そうなると富裕層の人も低所得の人も同じように減税となると、結局不公平感というのはなかなか是正されないように感じるのですが?
エコノミスト 崔 真淑氏:
そうなんです。なので、景気刺激策として使いたいのか、社会保障として使いたいのか。もし社会保障的な側面があるならば、実は給付金の方がマーケットからの信頼も得られやすく、影響も大きい可能性はあるかも知れません。
崔氏は、消費税減税について「条件付きの賛成」だといいます。また、やるならば「一律5%」ないし「給付金」という形が望ましいのではないかと話します。

エコノミスト 崔 真淑氏:
やはり品目で変えてしまうと、企業側がとにかく大変、経済効果も見えにくい。または、社会保障的な意味で減税するという話なら、私は「給付金」もありかなと思いました。
(一律にしないと)企業やお店側の混乱も激しいですし、消費が活性化するというより、ネガティブな影響が出てくる人もいると思うんです。
谷原章介キャスター:
買い控えるものと、安くなっているからこれは買ってもいいというものに差が出ると。
エコノミスト 崔 真淑氏:
やはりスーパーで買った食料品の方が安いよねという話になると、しかもインフレがまだ全然進んでいる状況なので、「じゃあレストランに行くのは控えようかしら」ということは起こり得ると思います。

――消費税減税をしたとしても、食品そのものの値段が上がってしまうのではないかという声もありますが?
エコノミスト 崔 真淑氏:
実は年々家計に占める輸入品の割合、食料品の割合もすごく増えているんです。そういう意味では、円安が止まらない限り、まだ上がりやすいのではないかなと思います。

――現状、ほとんどの政党が「消費税減税」について政策に掲げていますが、どの政党が勝っても消費税は減税されるのでしょうか?
エコノミスト 崔 真淑氏:
私はこれは、分からないと思います。
というのも今これだけ金利が上がっているじゃないですか、となると「マーケットからの信頼が得られませんでした、国債での調達も難しいです、なので今はいったん考えさせてください」という方向で、減税しない可能性も十分にあるのかなと。
実際にイギリスなどでは「減税します、積極財政」と言ったけど、金利が上昇したがためにこういった積極財政をできなかったということがあるので、日本で起こってもおかしくないかなと。

佐々木恭子キャスター:
マーケットの動向を注視しながらでなければ、なかなか実現はできないと?
エコノミスト 崔 真淑氏:
そうなんです、なので総理大臣が債権の、国債の市場に対してどうアナウンスしていくかは、本当に注目すべき内容だと思いますね。

谷原章介キャスター:
高市さん消費税は「検討」「加速」ですから、まだやるとは言い切っていないですよね。でも「悲願」であるとおっしゃっている。そして、国債とかの色々なマーケットに関しては、総理が直接的に言及することではないと、この間の会見ではおっしゃっていましたが…。
エコノミスト 崔 真淑氏:
そうですが、国債を買う人はその国の信頼であるとか、政治家の方向性を見ているのは間違いないので、直接は言及はしなくても、どう信頼を得られるかは考える必要がありますよね。
(「サン!シャイン」 1月21日放送)
