2025年春に鳥取市と島根県安来市で交通事故を起こし、少年2人を負傷させるなどしたとして、過失運転致傷や道路交通法違反などの罪に問われている鳥取県伯耆町の75歳の男に対する判決公判が、1月15日に鳥取地裁で開かれた。

判決では、「交通法規を遵守する姿勢や自動車運転に伴う責任の自覚が欠如している」と厳しく指摘し、被告の男に懲役3年2か月の実刑が言い渡された。

一方で、事故により重傷を負った児童は現在も後遺症が残り、被告の男からの賠償もない中で児童の家族は、弁護士を通じて「息子や私たち家族が受けた苦痛を考えれば、被告人がわずか3年2か月で刑務所から出てくるのか…というのが正直な気持ち」とコメント、苦しい胸の内を吐露している。

判決公判後に取材を受ける野口被告
判決公判後に取材を受ける野口被告
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判決を受けたのは、鳥取県伯耆町の無職・野口誠被告(75)。

野口被告は2025年3月31日、鳥取市松並町1丁目の信号機のない交差点を車で直進していた際、横断歩道を渡っていた当時9歳の男子小学生をはねて大けがをさせた。

男子児童がはねられた現場(鳥取市)
男子児童がはねられた現場(鳥取市)

時速約40キロのスピードの車にはねられた児童は頭を強く打ち、外傷性くも膜下出血、急性硬膜下血腫などの重傷を負った。

釈放された直後に人身事故…現場から逃走

野口被告は逮捕されていたが、釈放された直後の4月3日には、無登録・無保険の普通乗用車を運転し、島根県安来市で自転車に乗っていた15歳の高校生をはね、高校生を救護せず逃走した。

自転車の高校生をはねた現場(安来市)
自転車の高校生をはねた現場(安来市)

さらにその後、5月には運転免許取り消し処分を受けたにも関わらず、軽トラックで3回にわたり無免許運転をしたとして逮捕された。

結果、過失運転致傷、道路交通法違反、道路運送車両法違反、自動車損害賠償保障法違反の4つの罪に問われていた。

重い被害と償われない損害

鳥取地裁の安西二郎裁判官は判決理由の中で、被害者の1人の当時9歳の児童について、「外傷性くも膜下出血や四肢麻痺などの傷害を負って、当初は生命が危ぶまれる状態に陥った」と指摘。

1月14日に開かれた判決公判(鳥取地裁)
1月14日に開かれた判決公判(鳥取地裁)

現在も上下肢の機能が大きく制限され、栄養はほとんど経管で賄われ、音声による発語はほとんどできない状態で、日常生活のほとんどで介助が必要な状態」にあり、事故から約1年間の入院を要する見込みであるうえ、今後の回復が不透明である」と述べた。

そして「被害者のこれからの長い人生に対する影響は甚大であるだけでなく、その家族の心痛や生活への影響も大きい」としながらも、「被告人は何ら賠償をしておらず、任意保険に加入していなかったため十分な賠償がなされる見込みもない」と被害者側の窮状にも言及した。

また高校生をはねたまま逃走した事件については、「(車が)無登録であることが、見た目に分からないようにする工作まで施して運転した点が悪質」で、無登録、無保険車運行の刑事責任を免れるなどの理由で逃走した犯行動機に酌むべき点がないとした。

厳しく指摘された被告人の態度

判決では、野口被告の一連の行動について「交通安全、交通法規について考える機会がありながら、短期間のうちに交通事犯を重ねた」とし、「社会内では更生できないことを自らの行動によって明らかにした」と断罪した。

これらをふまえ、野口被告に懲役3年2か月の実刑判決が言い渡された。

閉廷後、報道陣の取材に対し、野口被告は「大変申し訳ないと思っています。金銭的にできることができないというのは残念」と述べ、控訴をしない考えを明らかにした。

報道陣の質問に答える野口被告
報道陣の質問に答える野口被告

「わずか3年2か月で刑務所から出てくるのか…」被害者家族の思い

被害者家族は弁護士を通じて「事故に遭った後、息子や私たち家族が受けた苦痛を考えれば、被告人がわずか3年2か月で刑務所から出てくるのか…というのが正直な気持ちです」と理不尽な事件への思いを明らかにした。

「刑務所から出た後、今まで通りに運転をして、また私たちと同じような苦痛を受ける人がいないかが心配です。被告人には、二度と運転をしてほしくないと思っています」と再犯への懸念も示した。

そして「判決の後も、被告人から賠償がされず、不安な生活が続くことに変わりはありません。私たち家族としては、息子が少しでも元気に活躍できるように、できることを続けたいと思っています」とコメントしている。

(TSKさんいん中央テレビ)

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