2026年3月11日で東日本大震災の発生から15年が経つ中、南海トラフ巨大地震は今後30年以内に高確率で発生するとされている。政府の地震調査委員会は今後30年以内の発生確率を60パーセントから90パーセントと予測。
島根・鳥取両県では、震度5強程度ながら液状化や交通まひ、避難者の受け入れなどの影響が懸念されている。直接の被害が少なくても生活への影響は大きく、家庭や地域での備えが重要だ。
1月6日に発生した島根県東部をする地震から2か月が経ったほか、東日本大震災から15年の節目を迎えている今、改めて地震への備えが問われている。
南海トラフ地震 山陰でも最大震度5強予想
2025年に内閣府が発表した最新の被害想定によると、南海トラフ巨大地震では神奈川県から鹿児島県までの太平洋側の広い範囲で震度6弱以上、静岡県から宮崎県までの沿岸地域約150市町村の一部で震度7が予想されている。全国の死者数は最大約29万8000人、津波による死者は約21万5000人に上ると試算されている。
一方、島根県と鳥取県では地震や津波による死者はないとされているものの、最大震度5強の揺れが想定されている。これは1月に発生した島根県東部地震と同じ程度の揺れだ。
地震研究の専門家である京都大学防災研究所の西村卓也教授は、山陰での被害について「揺れ自体がそこまで強くなくても、液状化して、例えば電柱が倒れたりとか、かなり道路がぐちゃぐちゃになったりとか、そういう可能性は十分あり得ます」と指摘する。
過去の事例が示す液状化リスク
液状化被害について、地質学や地震防災に詳しい島根大学総合理工学部の林広樹教授は、歴史的事例を挙げて警告。1946年の昭和南海地震では、現在の出雲市大社町で液状化が発生した。林教授は「液状化が起きる可能性はある。同じ場所で何回か起きている事案もある。一度起きたから大丈夫だとは思ってほしくない」と強調する。
政府の調査では、液状化により島根県で最大400棟、鳥取県で300棟の建物が被害を受けると試算されている。専門家らは、地震の揺れそのものよりも液状化によって家屋などが倒壊する危険性を重視している。
山陰では約2分間にわたって揺れが続くと予想され、大きな揺れではないものの、その継続時間の長さも液状化リスクを高める要因となる。
広域避難者の受け入れも課題
南海トラフ地震では、被災地からの避難者受け入れも重要な課題となる。地震発生1週間後の避難者数は全国で最大1230万人と試算され、このうち島根県に2300人、鳥取県に2700人の避難者が発生すると予想されている。被災の状況によっては、さらに広域避難者が加わる可能性も指摘されている。
西村教授は「もしかすると、避難の方も来る可能性もあるかもしれませんし、いろいろなことを想定していかなければいけない」と述べ、地震による交通インフラの麻痺も考慮すると、実際の避難者数の見極めは難しいとしながらも、行政などが様々な可能性を想定した備えを進める必要があると指摘する。
島根・鳥取両県とも、広域避難者への対応は過去の大規模地震の事例を基に対応するとしているが、具体的な規模については想定がなく、今後備えを進める段階にある。
防災は「社会における貯金」
交通インフラが機能停止すれば物流も止まり、直接的な被害がなかったとしても生活への影響は避けられない。林教授は「防災は社会における貯金なんですよね。ちょっと余裕があるときに考えておきましょうという積み重ねなんですよ。各家庭レベルとか自治体、自治会、町内会レベルくらいで、そういうことを考えていただけるといいのかなと」と日頃の備えの重要性を説く。
具体的な備えとしては、家具の固定、備蓄品や非常持ち出し品の準備、家族との連絡手段の確認、避難ルートの確認、ハザードマップや避難場所の確認、防災訓練への積極的な参加などが挙げられる。
3月11日に東日本大震災から15年の節目を迎えた。この機会に、改めて地震への備えについて考え直す必要がある。山陰にも影響が及ぶ可能性が高い南海トラフ地震に対し、個人レベルから地域レベルまで、段階的な準備を進めることが求められている。
(TSKさんいん中央テレビ)
