日々、大勢の人が利用しているJR東海道本線。車掌を目指す女性がデビューに向け、訓練に励んでいる。
日々安全運行に向けて
1日に約24万人が利用する東海道本線。
東は熱海、西は豊橋までを管轄するJR東海の静岡運輸区には200人近い乗務員が在籍しており、日々、安全運行に努めている。
2025年11月。
車掌の見習いとして研修中の石川渚奈明さんは、シミュレーターを使って車両の点検や乗客が乗り降りする際の確認事項などについて学んでいた。

この日は列車の扉が閉まる際、乗客のカバンが挟まってしまったことを想定してのトレーニングだ。
ミスから力不足を痛感
ところが、石川さんは本来5号車で起きている事案にもかかわらず「前から3両目で車両真ん中の扉です」と答えてしまう。
すると、田中浩之 指導助役から「何号車か明確にわかっていたのか?」と問われ、「わかっていませんでした」と返すしかなかった。
石川さんは「あとから思い出した時にあの辺だったかなという感じで答えてしまいました」と反省の表情を浮かべる。
このため、田中指導助役は「見ることができたかできていないかは問題ではなく、自分が見たままを正確に伝えることがすごく大事。次はそうした方が良い」と優しく諭した。
車掌に求められるのは迅速かつ正確な判断力。
思い込みや曖昧な言動は重大な事故につながり、乗客の命の危険に直結する可能性があるからだ。

石川さんは「今はまだ自分が電車に乗って、発車させる場面など全く想像できない。緊張している部分もあるし、もう少しシミュレーターを使って経験を積まないといけない」と、改めて反省しつつも前を向いた。
実車訓練から多くを吸収
自らの力不足を実感してから半月。
いよいよ実車訓練が始まる。
運行に関わる注意事項などを確認し、呼気検査などを済まると、自身の時計と実際の時刻にズレがないかを確かめた上で駅へと向かう。
指導役を務める先輩車掌と2人で担当するのは静岡駅と興津駅の区間の運行だ。
しかし、順調な滑り出しを見せたものの静岡駅を出発してから数分後、車内アナウンスが遅れ、先輩車掌からすかさず「ちょっとのんびりやりすぎ」とダメ出しがはいる。。
その後、おぼつかない様子ながらも何とか興津駅へと到着。
静岡運輸区が担当する駅は43にも上るが、先輩車掌によれば乗客がスムーズに移動できるように駅ごとの特徴を覚えた上で伝えることが大切だという。
折り返し運転では往路で教わったことを実践し、実車訓練を終えた石川さんは「実際に乗ってみて、乗客を安全に運ぶことの難しさを感じた。自分の1つ1つの動作で安全が守られるかどうか決まると思うので、1個1個の動作をしっかり行うことを意識して乗務したい」と意気込みを語った。
独り立ちへの最終関門に挑戦
2026年1月7日。
いよいよ石川さんが車掌として独り立ちしても大丈夫かどうかを判断する日がやってきた。
最終関門を前にして石川さんは「乗客にとっては普段の電車なので私も普段通り、これまでやってきたように乗務したい」と一言。
試験官が目を光らせ、緊張感に包まれる中、これまで学んできたことの成果を発揮し、大きなトラブルなく試験を終えることができた。

そして、JR東海 静岡運輸区の赤松浩 区長から合格を告げられると、石川さんは安堵の表情を浮かべる。
3カ月の研修期間を経て、ようやく立つことができたスタートライン。
目指すは気配りのできる車掌だ。
「例えば到着時の放送で『忘れ物をしないように』と言うのは必ずしも必要ではないが、それで忘れ物をせずに助かった乗客もいたと思うので、そういう気の利いた放送ができる車掌になりたい」
(テレビ静岡)
