迷い、試し、模索しながらも表現を続ける秋田市の秋田高校2年・山田蓮人さん(17)。その姿は、飾らない等身大のまま前に進もうとする強さがある。彼はいま、感性の成長期の真ん中で、自分だけの色を見つけようとしている。
絵の具まみれのジャージが語る“日常の創作”

放課後の体育館で、同級生とバレーボールに汗を流す山田さん。ふと記者の目に留まったのは、ジャージに散ったアクリル絵の具だ。
「絵を描くときにもこれを着ているので、どうしても絵の具がついちゃうんです」と話す山田さん。
創作は特別な時間ではなく、生活と地続きのもの。そんな自然体のスタイルが、彼の作品に伸びやかな印象を与えている。
幼い頃から漫画を好み、中学時代から美術部へ。
アクリル画を中心に表現を深め、2025年には国内最高峰の美術公募展「国展」に自画像を初出品。高校生としては数少ない入選を果たすなど、創作への歩みを着実に積み重ねてきた。
映像と音で“描く感覚”を表す挑戦
その後、さらなる表現を求めて挑んだ全国の高校生向けクリエイティブコンテストでは、新たに映像と音に挑戦した。絵を描くときに生まれる“混乱”や“高揚”といった揺れ動く内面を可視化する試みだ。
疾走する風景、幼少期の映像、ランダムにつなぎ合わせた音。
未経験の分野にもかかわらず、試行錯誤そのものを楽しむ姿勢が作品を豊かにした。
審査員からは「絵を描く感覚を共有できる」と高い評価を受け、165作品の中から金賞に輝いた。
“家と家族”という原点に向き合う新作
現在は、新たに「家」と「家族」をテーマとした絵画を制作している。
父と母、子供の頃から見てきた庭の柿の木——。懐かしい記憶の断片を集めたキャンバスには、これまで自画像中心だった彼の表現とは異なる視点が宿る。
「どこかへ出かけることは、家に帰ることを前提にしている。家族という制度自体が面白いと思った」と語る山田さん。
あえて自身の姿を描かず、家という存在を通して“見えない自分”を見つめる。
モチーフの形を崩したり、平面的な色を重ねて距離感をつくったりと、新しい描き方にも挑んでいる。
自由さと好奇心が表現を伸ばしていく
美術部の仲間は、山田さんの自由闊達(かったつ)な創作姿勢に強く刺激を受けている。
秋田高校美術部部長・渡辺杏さん:
「子供のような好奇心を忘れない人。普通はやる下地作りも“やらずに描いてみよう”と発想する。そこが彼らしくて、作品に魅力がある」
型にとらわれず、やってみたいと思ったことを素直に試す。その大胆さが、表現の幅を大きく押し広げている。
スタイルに縛られず自分の色を探す
「自分のスタイルを決める必要はない。どう見せたいかを実現できる絵が描ければいい」と語る山田さん。
固定化された“作家像”を求めず、自由に、柔軟に、そして少しだけ大胆に。
17歳のアーティストはきょうも、変化し続ける自分と向き合いながら、新しい色を探し続けている。
(秋田テレビ)
