85歳にして全国から注目を集める女性ドラマー。その原動力に迫った。
YouTubeの再生回数は160万回
「マイケル大好き、マイケルがなくなったとき泣けて泣けて仕方なかった」。稀代のアーティスト、マイケル・ジャクソン(2009年 50歳没)への熱い思いを語るのは、福岡市在住の倉田和加子さん(85歳)だ。
『ChaBaBa』の愛称で親しまれ、現役のドラマーとして活動している。

6年前、自身で作詞した曲『ChaBaBa Rock』の演奏動画をYouTubeに投稿すると、瞬く間に話題に。再生回数は160万回を超えた。

この投稿をきっかけに全国各地のイベントに呼ばれるようになったChaBaBaさん。地元の音楽イベントや高校の吹奏楽部とのコラボなど精力的に活動している。

ChaBaBaさんが、ドラムを始めたのは72歳のとき。それまで三味線やギターなど、いくつもの楽器に挑戦するも続かなかったと話す。

「娘がね、もうドラムでもやったら?と言ったんですよね。え?ドラム?それは無理よと思いながら」(ChaBaBaさん)。

それでも「モノは試しに」と叩いてみると、あっという間にその魅力に引き込まれたという。
手術と抗がん剤治療で10キロも体重減
ライブに訪れ、ChaBaBaさんの演奏を聴いた人に話を聞いた。
「エネルギッシュですごかった!そして歌も歌いながらびっくり仰天だった」(女性)。

「歳を重ねてもエネルギーに溢れていて自分ももっと頑張りたいと思いました、素直に」(女性)。

「(自分は)ずっと博多で音楽をやっているけど、僕たちミュージシャンの大先輩ですから、これからも背中を追っていきたい」(男性)。

それぞれがChaBaBaさんに敬意を表し、元気をもらっていた様子だった。
そんなChaBaBaさんを1年ほど前に病が襲う。「足元がラフラして『大きい病院で検査をして下さい』って言われて、もう一発でがんと言われて」と当時を振り返るChaBaBaさん。2024年11月、大腸がん(ステージⅢ)と診断されたのだ。手術と抗がん剤治療を受け9か月で10キロも体重が落ちたという。

今でも通院しながら演奏を続けているChaBaBaさん。支えとなっているのは憧れのドラマーの存在だ。
“史上最高のドラマー”を目指して
「この『レッド・ツェッペリン』のドラマー、亡くなっているけど、演奏を見るとすごいドラマーだから、ドラムはますます好きになったような気がする」(ChaBaBaさん)。

世界的ロックバンド、レッド・ツェッペリンのメンバーで“史上最高のドラマー”と称されるジョン・ボーナムだ。

そしていま挑戦している曲がある。「年齢的にちょうどいいのではないかと思って…、『天国への階段』(笑)。もうボチボチ準備しようかと思って。目標は自分が人生終わるときに、自分の人生万歳と言って死にたいと、これが目標」と5年ほど前から指導を受けているドラムの先生の元で練習を重ねている。

『天国への階段(Stairway to Heaven)』は、1971年に発表されたレッド・ツェッペリンの代表作で、2023年にはアメリカ議会図書館より、永久保存録音物として全米録音資料登録簿へ登録された名曲だ。
「業界でも『この曲はもう大変だ』と言われるくらいの曲ですのでね、私に難しいのは当然だと思います。もうやめれんですよ。悔しいもん」(ChaBaBaさん)
指導する『OFFBEAT』の生方伸彦さんは「普通に原曲に合わせて一定のテンポを保ちながらビートを叩くこと自体、それなりに難しいし、この年齢だと特にと思うけど、しっかりできていらっしゃるんで、もう本当にすごいなと」とChaBaBaさんへの評価も高い。

取材したこの日、ChaBaBaさんが行っていたのは『天国への階段』の動画撮影。自身の代表作『ChaBaBa Rock』の再生回数超えを目指している。

「レッド・ツェッペリンの方が、YouTubeを見てくれないかな。『俺たちの曲を叩いているよ』とかね、目に留まって欲しい。こういう、ばあちゃんもいるんだねって、すごいすごいって、それだけで十分です」(ChaBaBaさん)。

2026年の年末の予定も既に詰まっているというChaBaBaさん。病を乗り越え、憧れの“史上最高のドラマー”を目指して、きょうもドラムを叩く。
(テレビ西日本)
