2025年のプロ野球、セ・リーグは阪神が両リーグ史上最速で優勝し、パ・リーグはソフトバンクが2年連続でリーグ制覇した。日本シリーズでは、第5戦の延長11回までもつれた熱戦を制したソフトバンクが5年ぶり12度目の日本一に輝いた。
フジテレビ系列12球団担当記者が、そんな2025年シーズンを独自の目線で球団別に振り返り、来たる2026シーズンを展望する。
三木肇監督(48)が5年ぶりに一軍で指揮を執った昨季。
軸となる先発投手の不在が響き4年連続の4位に終わったが、5球団競合のドラフト1位ルーキー・宗山塁(22)をはじめとした若手野手の台頭が目立つシーズンとなった。
【楽天イーグルス 2025年成績】143試合 67勝74敗2分 パ・リーグ4位
投手陣の「球団史上初」の記録が示す課題
昨季のチーム防御率はリーグ4位タイの3.37。先発防御率は同最下位の3.72、リリーフ防御率は同4位の2.87だった。
リリーフ陣に関しては、ここ数年ブルペンを支えてきた酒居知史(33)や宋家豪(33)らがけがで離脱する中、トミー・ジョン手術明けで防御率1.07を記録した西口直人(29)、今季63登板で防御率1.96とブレークを果たした西垣雅矢(26)、移籍組の加治屋蓮(34)や今野龍太(30)が奮闘。リリーフ転向2年目の藤平尚真(27)は球団新の29試合連続無失点を記録した。
一方、先発投手陣は2024年に球団左腕初の二桁勝利となる11勝を挙げ、2年連続の開幕投手を務めた早川隆久(27)や、新戦力として期待されたスペンサー・ハワード(29)、ミゲル・ヤフーレ(27)らがローテーションを守りきれなかった。
規定投球回に到達した投手は球団創設以来初めて不在と、2026年に向けた明確な課題が浮き彫りとなった。
“聖域”なしの選手起用
監督就任時のインタビューで「この世界は競争の世界」と語っていた三木監督。
その言葉通り、実績にとらわれない“聖域”なしの起用を見せた。
5月24日の日本ハム戦で平成生まれ初の通算2000安打を達成した浅村栄斗(35)はシーズン序盤に35打席連続無安打を経験するなど不振に陥ると、5月20日の西武戦で連続試合出場が「1346」でストップ。7月には11年ぶりとなる二軍落ちを経験した。
また、2024年にパ・リーグ最多安打のタイトルを獲得し、今季開幕四番も務めた辰己涼介(29)や2024年に12球団唯一の全試合フルイニング出場を果たした小郷裕哉(29)も共に3~4月の打率1割台と苦しむと、4月に二軍再調整となった。
打撃陣の「球団史上初」の記録が示す収穫
一方で、三木監督の起用法は若手の台頭をもたらした。
ドラフト1位ルーキー・宗山を開幕スタメンに抜擢したほか、大卒2年目の中島大輔(24)や高卒6年目の黒川史陽(24)など状態のいい選手を積極的に起用。
中でも宗山と中島は規定打席に到達し、20代前半(シーズン終了時に25歳未満)の2選手が同一シーズンに規定打席に到達するのは球団史上初めてのことだった。有望な若手に一定の打席数を与えることができたのは来季以降に向けた収穫と言えるだろう。
【宗山塁 2025年成績】122試合 打率.260 3本塁打 27打点
【中島大輔 2025年成績】124試合 打率.266 6本塁打 31打点
【黒川史陽 2025年成績】83試合 打率.299 4本塁打 33打点
村林一輝&宗山塁のショート争い
そして、昨季の楽天を振り返るうえで欠かせないのが村林一輝(28)と宗山のポジション争いだ。
村林は高卒8年目の2023年にショートのレギュラーをつかみ、2024年に初めて規定打席に到達した苦労人。
開幕前のインタビューでショートへの思いをこう明かしている。
村林一輝:
ずっとそこ(ショート)で出るというのを目標にやってきたし、もちろんそこにはすごく強いこだわりを持って取り組んでいる。
念願だった「背番号6」を新たに背負い臨んだ昨季。
春季キャンプのシートノックでは宗山と共にショートの位置に就いた。叩き上げの生え抜き選手とゴールデンルーキーを同じポジションで競わせた三木監督は、春季キャンプでこう語っている。
三木肇監督:
競争がチームを強くしていく。宗山の将来も考えながらこの組織が一緒に強くなっていくことが望ましい。村林も負けないようにといい表情でやっている。みんなで切磋琢磨してほしい。
その競争の中で、開幕戦のショートのスタメンに名を連ねたのはルーキー宗山だった。
村林は、サードでの開幕スタメンとなったが、このポジション争いについてシーズン中のインタビューで、「プロ野球界はいい選手が入ってくるのが当たり前。うまくなったら試合に出られるというポジティブな考えでやっていた。気持ちの部分ですごく成長できた」と語っている。
思い入れのあるポジションをルーキーに明け渡してもなお、自身の成長に目を向けた村林。
主戦場をサードに移し、ショート、セカンドと複数のポジションをこなしながら打撃面で大きな成長を見せ、自身初の打撃タイトルとなる最多安打に輝いた。
【村林一輝 2025年成績】137試合 打率.281 144安打 3本塁打 51打点
一方の宗山は、シーズン終了後に「村林さんから(ポジション争いについて)何か言われることは全くなかったし、1年間本当に優しく色んなことを教えてくれた。とにかく自分ができることを全力でやろうと、考えすぎずにできた」と明かしている。
村林の支えもあったという宗山はパ・リーグの新人ショートでは44年ぶりとなるベストナインに輝き、村林もサードで自身初のベストナインに。2人の競争は、ベストナイン同時受賞という結果につながった。
宗山塁:
細かいところで負ける試合もありましたけど、単純に力負けする試合がたくさんあった。パワーで負けるとか、振り負ける、投げ負ける、単純な力の差で負ける試合があった。
4年連続Bクラスに沈むチームの現状をそう捉えたうえで、2026年に目指す打者像を明かしてくれた。
宗山は「相手から怖がられるようなバッターになりたい。もっと長打を増やせるように、よりいいスイングを目指してより強い体を作っていく」と話し「相手に怖がられる打者」を目指して、1月の単独自主トレでは体作りや動作の確認に重点を置くという。
2月1日のキャンプインをどんな姿で迎えるのか。そこに宗山の2年目の進化の一端が垣間見えるはずだ。
積極補強も…カギ握る「競争」
このオフ、球団は活発な補強を見せている。課題の先発投手陣の底上げを図るべく、前田健太(37=前ヤンキース傘下)、ロアンシー・コントレラス(26=前ロッキーズ)を獲得。さらに、経験豊富なベテラン捕手・伊藤光(36)もDeNAからFAで獲得し、バッテリーの強化を図っている。
また、昨季途中加入でチームトップの13本塁打を記録した右の大砲、ルーク・ボイト(34)の残留や、同じく右打ちで身長203センチの大型新助っ人、カーソン・マッカスカー(27=前ツインズ)の加入も、左の好打者が多いこのチームにとっては大きな意味を持つ。
それでも、上位進出には既存戦力の底上げが不可欠だ。
2024年シーズンに頭角を現した若手野手陣のレベルアップはもちろん、課題の先発投手陣では右肘クリーニング手術から復活した荘司康誠(25)、昨季チームトップタイの7勝を挙げた古謝樹(24)ら大卒ドラフト1位組の独り立ちに期待したい。
「この世界は競争の世界」と語る三木監督が2026年も続投する。投手、野手ともに昨季の村林と宗山のようなハイレベルな競争を演じた先に2013年以来の栄光が待っているはずだ。
“最強”の2026年へ、楽天の底力はこんなもんじゃない。
(文・楽天担当 島貫雅大)
