10月26日の17時過ぎ、東京・府中市にある明治大学野球部合宿所の会見場が無数のフラッシュに包まれた。
明治大学のエースナンバー「11」を背負う入江大生(22)が運命のドラフト会議で横浜DeNAから単独1位指名され、プロの扉の前に立った瞬間だった。
同じ東京六大学リーグで、東北楽天が交渉権を獲得した早稲田大学の早川隆久(22)と並び2020年のドラフトの目玉の1人だ。

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直後の会見での第一声は「横浜DeNAベイスターズからドラフト1位指名して頂きました明治大学4年・入江大生です。ドラフト会議が始まる前は、そわそわしていたんですけど、1位指名して頂いた時は本当にホッとした気持ちと、これからプロ野球選手になるんだという自覚と責任を感じました」と安堵の表情を浮かべ、喜びを口にした。

明大進学後に投手一本で勝負

栃木・作新学院で高3夏に全国制覇を成し遂げた入江だが、当時は4番で一塁手として打撃の評価が高く、背番号は3。エースの座を現在、埼玉西武の今井達也(22)に譲った。

「自分が野球を始めたのは小3の時なんですけど、ずっとポジションは投手でしたし、どうしても投手として花を咲かせたいという思いが強かったので、大学進学にあたり投手志望になりました。高校の時は全国制覇の野手として注目を頂いたんですけど、大学進学にあたり、自分を投手として獲って下さった監督に感謝の気持ちで一杯です」と入江。

甲子園で3試合連続本塁打を放つなど、打者として優勝に貢献したが、明大へ進学後は投手一本で勝負した。

入江に投手としての可能性を見いだした理由について、田中武宏監督は会見で「彼を初めて見たのが高2の時でした。投げている姿を見た時にひょろひょろとした子でした。3年生になってもそれは変わらなかったんですけど、今井君の持っている素材に負けないし、187センチの長身から誰にも真似できない投手の角度を持っていたので、投手だと思いました」と語った。

「今井が4年前にドラフト指名された時に、またいつか同じ舞台で野球ができたらいいねと、声をかけてもらって、4年越しにその夢が叶いそうなので、セ・パでリーグは違うんですけど、交流戦で投げ勝つのはもちろんですし、打席でも一本ヒットを打ちたいと思います(笑)」と意気込んだ。

また、故郷の栃木県民にメッセージを求められると、「非常に悔しいことがありまして、栃木県の魅力度ランキングは最下位ということを小耳に挟んだので、最下位脱出というのを県民の皆とがんばっていきたいと思います(笑)」と会場を沸かせた。

エースナンバー11と入江の心・技・体

技術面ではMAX153キロの力強いストレートと、縦の変化球を自分は武器としているんですけど、自分の一番の強みは絶対に打たれないという気持ちの強さだと思います」と入江。
187センチの長身から投げ下ろす最速153キロのストレートと切れ味鋭いスライダー、フォークは自他共に認める自信になっている。

今一番対戦してみたい打者を問われると、「まだプロ野球選手になった実感がつかめないので、選手にこだわらず一球一球自分の投球をしたいです。熱く、時には冷静にゲームの雰囲気を楽しみたいと思います」と意気込んだ。

「技術」だけではない。明治のエースナンバー11は野村祐輔(広島)、柳裕也(中日)、森下暢仁(広島)ら、心・技・体そろった投手が継承してきた。

「心」に関しては、「この4年間で一番学んだことは、野球以外の面が一番野球に直結すると学んだ。細かいことで言えばスリッパをきちんと並べたり、道に落ちているゴミを拾うことだったり、私生活で当たり前のことをするのが人間力につながると思います。そうすることで、勝利の女神が微笑んでくれることが多いと思います」と明かす。

「体」については「今年はコロナ禍で練習できない日々が続いていたんですけど、その状況の中でしかできないことはある。自分は線が細いと思うので筋力トレーニングだったり、体重の増量をテーマとして2キロ増えました。色んなプロ野球選手のYouTubeを見て、理想のフォームを思い描きながら、練習しました」とコロナ禍でも体作りに励んで来た。

入江の描く理想像

開幕1年目の目標については、「まだ、先発・中継ぎ・抑えどこをやるのか分からないですが、今年の春・秋と先発をさせて頂いたので、できるだけ長いイニングを投げられる投手になりたいと思います。開幕一軍でしっかりと1年間ローテーションを守ることを1年目の目標にしたいです」と入江。

今年プロ入りした1学年上の先輩で新人王候補の広島・森下暢仁(23)には刺激を受けている。

2019年ドラフト

「目標とする投手はいないんですけど、1学年上の森下さんの活躍を見て、追いつきたいという気持ちはあります」と早くも先輩をライバル視した。

田中監督は「入江は下級生の頃、後ろの方で短いイニングで投げていましたし、4年生になってから先発をやり出していますので、こちらから送り出すとしたら、どこのポジションでも対応できる能力があるということです」と期待を込めた。

最後に理想の勝利数を問われた入江。「理想は10勝です」抑揚をつけながら一言一言発する言葉に力強さを漂わせる。それでも、自分を大きく見せようとすることはない。

「横浜DeNAのキャプテンは明治大学出身(佐野恵太)です。1学年上の先輩には伊勢大夢投手(22)もいるので、非常に心強いです。球団の印象は活気のある人気のある球団ですので、早くチームのカラーに馴染めるように頑張りたいと思います。これから結果で恩返ししたいと思います」

エースナンバー11にふさわしい理想の姿を追い求めた右腕は、新たな夢の舞台でもふさわしい理想の姿を追い求める。

2020ドラフト
1位・入江大生(投手・明治大)
2位・牧秀悟(内野手・中央大学)
3位・松本隆之介(投手・横浜高)
4位・小深田大地(内野手・履正社高)
5位・池谷蒼大(投手・ヤマハ)
6位・髙田琢登(投手・静岡商)