急速な人口減少とともに、国内の人材不足が進んでいる。それを補う外国人労働者の数も増え続け、2024年に230万人を超えた。フジテレビが主要ゼネコン15社にアンケートしたところ、ほぼすべての会社が人材不足を理由に外国人材が「必要」などと回答。「将来的には外国人材が重要な役割を担うことも避けられない」といった、深刻な人材不足の実態が浮かび上がった。
「ベトナム帰れ」暴言吐く映像…
今年の夏、フジテレビはある映像を入手した。
「日本語分かんねえならベトナム帰れ」

そこに映っていたのは、暴言を吐く日本人男性と、倒れて声を上げて泣くベトナム人男性。映像には、日本人男性がベトナム人男性を「踏みつけた」とする会話が記録されていた。
取材をすると、撮影されたのは北海道の建設現場で、2人はいずれもこの現場で働く作業員であったことが判明。2人は昼休み中のスマホ使用の「マナー」を巡ってトラブルになり、暴力沙汰になったことが分かった。ベトナム人男性は、胸の骨が折れたという。
建設現場では、日本人も外国人も、複数の会社に所属する作業員が出入りする。言葉や文化の壁がある中、どうすれば、日本人と外国人が安心して共に働くことができるのか。
外国人割合やトラブルなどアンケート
フジテレビは11月から12月にかけて、外国人労働者に関するアンケートを主要ゼネコン26社に依頼。そのうち15社から回答があった。
質問項目は、「建設現場における外国人労働者の数や割合」、「外国人労働者の必要性」、「建設業界ならではの難しさや実際のトラブル事例」、「外国人労働者を受け入れる上での対策」、など大きく4項目で、記述式での回答を得た。

項目ごとに、各社の回答を紹介していく。
建設現場における外国人労働者の数や割合
外国人労働者の数は、多くの会社が数%から10%前後と回答した。現場ごとでみると、多い場所では半数近くが外国人となっている現場もあるという。

【主な回答】
・全入場者の約1割の外国人技能者が働いている。外国人技能実習生が約5割、特定技能が約2割で、残りは永住者、定住者等
・土木工事でおおよそ8~10%程度、建築工事でおおよそ15%程度
・7%ほど
など
外国人労働者の必要性
「外国人労働者の必要性」については、13社が、深刻な人材不足に伴って、外国人労働者が必要である旨の回答をした(2社は回答なし)。建設業界特有の事情として、女性や高齢者の働き手が増えにくいことも挙げられた。
【主な回答】
・外国人は人手不足を補う重要な労働力であり、事業継続に必要不可欠
・建設業の生産体制を確保、将来的にも維持していくためには、若年者の入職促進と定着による円滑な世代交代が不可欠で、技能を持った外国人労働者は、その課題解決の下支えとなっている
・建設業は「女性の就労率や高齢者の就労率の改善」が進み難いこともあり、外国人材への期待は益々大きくなっていく
・将来的には外国人材が管理や作業指揮の重要な役割を担うことは避けられない。積極的に「特定技能2号」としての在留資格を獲得してもらうことや、「1,2級施工管理技士」など建設工事管理者としての資格の取得と建設業法に基づく実務実績などを修得してもらう必要がある。
