福岡市内の警備会社から車を盗んだ疑いで、65歳の男が逮捕された。複数の防犯カメラが、その一部始終を捉えていた。
倉庫から持ち出したのは車のカギ
事件があった現場は、防犯カメラがいくつも設置されている警備会社。

2025年12月7日、午前2時半過ぎ、福岡市内の警備会社に現われた1人の男。帽子を被り、ダウンジャケットを身につけた男は、顔や体格などを分かりにくくしているようにも見える。

男は車の間を抜けていくと警備会社の倉庫へと向かった。そして倉庫から持ち出したのは、車のカギ。

カギを手にした男は、足早に車に乗り込み、走り去って行った。

警備会社に勤める従業員は「会社の従業員が乗っていくことがある。仕事上どうしてもそういうことがあるので、誰か乗って行ったんのかなと思った」と話し、当初は車がないことを不審には思わなかったという。

警備会社所有の車に乗り、逃げた男。しかし、これで終わりではなかった。男は21時間後、再び現場に姿を現したのだ。
発見された車はパンクした状態
男は、またもや同じ倉庫からカギを持ち出すと、それまで乗って逃げていた車の中から大きな荷物を取り出し、持ち出したカギで新たに開けた別の車の中に荷物を乗せ替えた。

その車で走り去って行った。どこへ行ったのか?
盗まれた車は事件から2日後、警備会社から7キロほど離れた福岡市内のコンビニエンスストアの駐車場で発見された。車は、前輪がパンクした状態だった。

警備会社の従業員によると、『おたくの車が放置されています。どうにかしてください』とコンビニのオーナーから連絡があったという。

そこで警備会社は、防犯カメラに残された画像を確認。すると「防犯カメラに今回の犯人が映っていた。現場の担当者に聞くと『あれじゃない?』ということだった」(警備会社従業員)。
逮捕された男 実は元従業員
そして12月23日、住居侵入と2台の車を盗んだ窃盗の疑いで逮捕された男。実は車が盗まれた警備会社で11月末まで勤務していた元警備員だった。

警備会社によると男は2025年8月に入社。「一身上の都合」で退職したという。

警備会社従業員は「カメラが写っている場所は、全て把握していますよね。一切、顔が映らないように行動していますよね。もう腹立つだけですよ。会社の車、盗まれた訳ですから。要は3カ月一緒にこの会社にいたということでいうと、最初からそういうのが狙いで入ってきたのかな」と訝る。

男は、車を盗んだ理由について警察にこう供述しているという。
『私は住む家がなく、車中泊がしたいと思い車を盗みました』

複数の防犯カメラが一部始終を捉えていた今回の事件。男が設置場所を全て把握していたとしても複数のカメラをかいくぐることはできなかった。
(テレビ西日本)
