TKUライブニュースのスタジオに熊本県の木村敬知事を招き、2025年一年を振り返りながら県政の課題や今後の展望について話を伺う。今回は8月に起きた記録的大雨からの復旧復興や県有スポーツ施設の今後について話を聞いた。
「最後の一人までしっかり支援」
最初は2025年8月の記録的大雨について、県内では4人が亡くなり、1人の行方が分かっていない。また、住宅の被害は8481棟に上り、5年前の7月豪雨の被害件数を上回っている。仮の住まいでの生活を余儀なくされている被災者は、11月末時点で326世帯732人だ。

この8月の記録的大雨の復旧・復興対応について、熊本県として木村知事はどのように取り組むのか。

木村敬熊本県知事:
被災された方は今が復旧・復興の道半ばだと思う。非常に大変な思いをされていると思う。応急仮設やみなし仮設に住む人が326世帯732人。そうした方々の生活再建に向けて、最後の一人までしっかり支援していきたい。

木村敬熊本県知事:
また、中小企業の被害についても、県議会で補正予算を組み、復旧復興支援策を国の支援で『熊本スペシャル』を講じたので、年末から年明けにかけて説明会をやっていく。小規模事業者が安心して年を越せるように、しっかりサポートしていく。
「復旧復興プランをきょう決裁した」
そして12月24日には熊本県と熊本市の調整会議が開かれ、8月の大雨災害への対応についてそれぞれ報告した。

今回の大雨では、熊本市などで内水氾濫によって被害が拡大した。河川管理者である熊本県は熊本市の坪井川や井芹川の越水箇所について、2年以内に堤防のかさ上げ整備に着手することや、河川監視カメラを増設すること。また、河川整備計画の策定に向けて検討を始めることなどを報告した。

熊本市は排水機場の耐水化や止水板設置補助制度の導入など市の対策を説明し、大西一史熊本市長は「(県の対策は)熊本市民の安全・安心にとって大きなこと。感謝したい。出水期までにスピーディーにお願いしたい」と述べた。

24日の会議では、熊本市での内水氾濫へのハード・ソフトの対応が示されたが、他の自治体での内水氾濫への対応については、どのように取り組むのか。

木村敬熊本県知事:
被害に遭った市町村すべてと県で会議を重ねている。その中で具体的にできるところから、形にしている。熊本市が一番被害が大きかったので、きょう大西市長と話をしたが、例えば先週は玉名市の藏原市長とトップ会談を行い、浸水被害について県は「境川のバイパスを作るのを次の次の出水期までにやる」と言った。それに合わせて玉名市は用水路を整備する。このように一つひとつの市町村と連携してやって行きたい。

木村敬熊本県知事:
やはり内水対策は基本市町村が大きな役割なので、各市町村で内水ハザードマップを、できれば全部の市町村に作ってもらえるように、県も技術的な支援をしていきたい。復旧復興プランも、先週まで県議会で議論いただいた。きょう私が決裁をし、県の復旧復興プランをまとめた。これをしっかりと年明けから回していきたい。
県立総合体育館は「熊本市と連携」
続いては熊本県のスポーツ施設について、木村知事は老朽化などの課題を抱える4つの県有スポーツ施設の再整備について方針を示した。

県立総合体育館はイベントやコンサートなどでも活用できるアリーナ施設として、現地で再整備する方針。そして藤崎台県営野球場は、移転再整備。熊本武道館が利用環境の改善に向けた『改修』などとなっている。

そして24日の熊本県と熊本市の調整会議では、木村知事がアリーナ施設について「収容人数は最低5000人以上で1万人規模という意見もある。市の中心部から熊本城近くを通って上熊本へ向かう動線の整備が必要」と述べ、熊本市に協力を求めた。

大西熊本市長も「周辺環境の整備は連携して事業に積極的に協力したい。公共交通の利用促進で県と連携し、県民・市民の行動変容につなげる取り組みを強化する」と話し、周辺のハード面の整備や渋滞緩和に向けた公共交通機関の利用促進で協力すると述べた。

この現地再整備にかかる県立総合体育館周辺のまちづくりについて、木村知事はどのように進めていきたいと思われているのか。

木村敬熊本県知事:
県立総合体育館はヴォルターズがBリーグプレミアに向かうためには5000人以上の規模が必要だし、それだけを集められる力がヴォルターズにはあると思う。もっと大きくして1万人までにするという意見もあるが、5000人にせよ、1万人にせよ、一度に多くの人が来るので、今のまま何もしないでいると歩道が人でいっぱいになり、渋滞ができてしまう。道路は熊本市管理なので「合わせて整備をしていただきたい」と大西市長に了解をいただいた。

木村敬熊本県知事:
もう一つは5000人から1万人というのが、すごい大きなにぎわいになる。上熊本周辺ももちろんそうだが、熊本城や藤崎宮、上通などに行ってもらう流れをどう作っていくか、この点も熊本市と綿密に協議をして、大きな回遊性があり、お金が落ち、みんなが元気になる街にしたい。
県営野球場の移転先は熊本市?菊陽町?
一方で、熊本市にある藤崎台県営野球場は2026年度中に移転先を公募されるわけだが、大西熊本市長は「公募の条件や適した土地の調査などを踏まえ、最終的に判断したい」とする一方で、菊陽町の吉本孝寿町長は「JASM進出効果の県全体への波及のためにも、誘致したい」と名乗りを上げているが。

木村敬熊本県知事:
県民の関心が高いのはよく分かっている。私もサウナで隣に座った人からいつも聞かれる。藤崎台については2つある。まず1つは、3年前に村上宗隆選手に県民栄誉賞を贈るときに、蒲島前知事に「藤崎台をプロ野球が誘致できるような球場にしてほしい」と直談判されている。村上選手は大リーグ・ホワイトソックスに行かれるが、はなむけのためにも約束を果たしたいと思っている。

木村敬熊本県知事:
もう1つは跡地というか、残る球場をどうするか。県で抱え続けられないので、市が引き受けるのか、民間が引き受けるのか。更地にするという考えもあるかもしれないが、野球場自体をどうするかという点があるのも、県民には理解いただきたい。
(テレビ熊本)
