永田町では、高い内閣支持率を維持する高市早苗首相が、早期に衆院の解散・総選挙に踏み切るのではないかとの見方がくすぶっている。一方、政権交代を目指す野党第1党・立憲民主党は、自民党との連立政権を離脱した公明党との連携強化に向けて動き出している。

新年の2026年は、次の衆院選もにらんで与野党の攻防が激化し、政局の行方にこれまで以上に注目が集まることが予想される。

立憲民主党のキーパーソンがFNNの単独インタビューに応じ、2025年の党活動に対する評価、そして新年の展望や戦略などについて語った。

2025年の採点は「60点」 党勢立て直しへ「マイナスからのスタート」

「26年続いた自公政権も終わって歴史的な1年になった。政界の地図も大きく変わっていくと思う」

2025年についてこう語るのは、立憲民主党の安住淳幹事長だ。臨時国会が閉会した翌週の12月23日、FNNの単独インタビューに応じた。

安住氏は、7月の参院選での「事実上の敗北」を受けて立憲民主党が党勢の立て直しのため9月に新たに発足した執行部で、幹事長に就任した。

旧民主党時代から国会対策委員長の経験が長く、野田内閣では財務相も務めた。与野党に太いパイプを持ち、国会運営や党務にも精通している実力者だ。

立憲民主党の2025年の活動に対する評価について、安住氏は次のように振り返った。

立憲民主党・安住淳幹事長(12月23日国会内にて)
立憲民主党・安住淳幹事長(12月23日国会内にて)
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「野党第1党として衆院で大きな議席をもらった。これを生かして予算委員会でずいぶん頑張ったが、残念ながら参院選では既成政党に対する批判の方が強く、参政党や国民民主党の躍進を許してしまった。その後、高市政権ができて政局が大きく変わった」

高市内閣は、10月に発足して以降、高い支持率を維持している。FNNが12月20・21両日に実施した世論調査では、内閣支持率が75.9%。政権発足以降3回の調査でいずれも75%台と、高い水準で横ばいを続けている。

一方の野党は、国民民主党は5.7%に微増したが、立憲民主党は4.5%で、各党とも支持率は伸び悩んでいる。高市内閣に対する支持率の要因について、安住氏は次のような見方を示した。

「本当に申し訳ないが、前の人(石破茂前首相)が国民にとって印象が悪すぎたということなのかもしれない。高市さんはまだ期待値が高い。これからどういうふうになるかはわからないが、女性初の首相で目力もあり、石破さんよりはリーダーとしてよいと思っている人は多いと思う」

高市内閣スタート(10月)
高市内閣スタート(10月)

立憲民主党の2025年は100点満点で何点かと質問すると、安住氏は「60点ぐらいではないか」と語った。

「(予算案の)省庁別審査など新しいものを生み出して、ずいぶん頑張った。他方で、全く国会で頑張らず、SNSで頑張った方がよいという人たちの方が、世の中から支持を受けている。我々や自民党は本当に古い政党で、SNSにうまく対応できなかった」

安住氏が言及した「省庁別審査」とは、衆院予算委員会で立憲民主党など野党側の提案で新たに設けられたもので、府省庁をグループに分けて予算案に関する専門的な質疑が行われた。2月に予算委員会で初めて行われた際には、立憲民主党の議員も相次いで質問に立ち、予算案の問題点を浮き彫りにし、「形骸化している」との指摘もあった予算審議を活性化させた。

自ら予算委員長として国会改革を進めた安住氏は、「国会議員本来の仕事を全くしないで、SNSでどんどん発信する人間の方が評価されるというのは大きな矛盾だ」と悔しさもにじませた。さらに、9月から幹事長として陣頭指揮している立憲民主党について次のように語った。

「マイナスからのスタートだと思っている。150議席近くもらった衆院選の議席の貯金は、参院選で伸び悩んだことで使い果たしたと思う。そういう点では、新しい立憲民主党を作っていかないといけない」

そして、「多数をこれから取っていくのに、他党との連携は不可欠だ」とした上で、「残念ながら、今の立ち位置だとなかなかうまくいかない。そういう意味では、政策的にもアップデートしないといけない部分がかなりある。宿題はたくさんもらった」と述べた。

一方で、安住氏は「公明党が野党になって、日本維新の会が与党になったおかげで、保守・極右的な政治体質を持った人たちと、穏健・中道・リベラル勢力が綺麗に分かれて分かりやすくなった」と指摘し、次のような考えを示した。

自民党との連立から離脱した公明党
自民党との連立から離脱した公明党

「公明党が明確に中道を宣言したことで、連携を想定する相手として、これから十分色々なすり合わせをしていけるのではないかと思っている。確かに高市政権の支持率は高いが、これから我々も中道をキーワードに大きな塊を作っていかないといけない」

公明と連携の芽「大事に育てていきたい」国民民主と「共闘は可能」

安住氏が目指すのは、連合から支援を受ける立憲・国民民主両党、そして自民党との連立政権を離脱した公明党の3党を軸とした「中道政権」だ。

政府の経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算が12月16日、参院本会議で与党などの賛成多数で可決され、成立した。物価高対策や成長投資が柱となる補正予算は、一般会計の総額が約18兆3000億円で、コロナ禍以降としては最大規模となった。

予算案の採決では、立憲民主党が反対、国民民主党と公明党は賛成し、賛否が分かれた。一方で、立憲民主党と公明党は、予算案の組み替えを求める動議を共同で提出し、今後の連携強化につなげた。

安住氏は公明党との連携について、「芽吹いたので、これから大事に育てていきたい」と手応えを語った。また、いわゆる「年収の壁」の引き上げで合意するなど、自民党に接近する国民民主党については、「個々の政策を自民党に飲ませることで政策実現を果たすというのが今のパターンだ」と指摘し、次のような見方を示した。

「いよいよ衆院選となった時に、自民党と対峙することも事実だ。そういう意味では、あるタイミングで共闘は可能だと思っている」

そして、国民民主党の次の衆院選での対応について、「自民党と連立を組んで候補者調整をしない限りは、他の野党とできるだけまとまらないと、小選挙区では勝てない」と強調し、次のように話を続けた。

「政策実現をする野党かもしれないが、選挙で自民党と協力はできない。自民党は国民民主党の候補者を潰しにかかる。彼らがその時にどうするかということだ。公明党と我々は、自民党と対峙して戦うということを決めて今、野党にいる」

また、支援団体である連合も、立憲・国民民主両党の連携を望んでいるとの認識を次のように示した。

「支援母体が同じ国民民主党の皆さんがどこまで共有してくれるかは分からないが、連合の皆さんは我々の考えを非常によく理解してくれている。中道勢力を結集して自民党に対抗するべきだという声が強い」

立憲民主党には、国民民主党が連携に慎重な姿勢を崩さず、政権交代を逃した悔しい教訓がある。

立憲・維新・国民3党の党首会談(10月15日)
立憲・維新・国民3党の党首会談(10月15日)

立憲・国民民主両党に日本維新の会も加えた3党は10月15日、党首会談を開き、首相指名選挙での野党統一候補の擁立をめぐって協議した。しかし、安全保障や原発などの政策に関する立場の隔たりは埋まらず、日本維新の会は自民党との連立政権に踏み切った。

そして、21日に衆参両院本会議で行われた首相指名選挙で、自民党の高市総裁が第104代首相に選出された。

連携に慎重な姿勢を示し続けた国民民主党の玉木代表について、安住氏は今どのように見ているのか。

「政策実現に夢中になっているという感じはあるが、衆院選を間近に控えた時に、自民党と一緒に責任を共有してやるというのはなかなか大変ではないか。高市さんは今、支持率が高い。媚びている政党、補完政党になっている政党もたくさんあるが、いざ選挙になった場合は、対決姿勢を鮮明にして、しっかり受け皿になる方が賢明だと私は思う」

安保関連法「10年経ち検証したい」新年の漢字は「集」

政権交代を目指す立憲民主党は、安全保障政策に関する新たな党の見解の取りまとめに向けて動き出している。

重鎮の岡田克也元外相をトップとする党の外交・安全保障総合調査会で議論を進め、集団的自衛権の行使が可能となる安全保障関連法の存立危機事態を念頭に、「違憲部分を廃止」との主張の修正も視野に入れている。

これについて安住氏は、「大きな方向転換をするわけではない」とした上で、次のように語った。

「日本周辺で起きる様々な事態に対してどう対応するか、10年経っているので検証したいということだ。少なくともこの10年は、憲法違反になるような事態には至らなかったということは事実だ。自衛隊を実際に運用する時の信頼感を高めていかないといけない」

最新鋭もがみ型護衛艦「よしい」進水式(12月)
最新鋭もがみ型護衛艦「よしい」進水式(12月)

そして、安住氏は、「専守防衛に徹して、現行憲法下で許される範囲の近代的な防衛力を整備する。遠くは抑制的に、近くは現実的にということに尽きる」と強調した。さらに、公明党や国民民主党との連携に再検討が不可欠だからかと質問すると、次のように説明した。

「他党のためにやるというよりも、政権を目指す時に、そこがネックになってはならないということだ。違憲にならない運用に努めるにはどうしたらよいかという観点でやりたい。そういう考え方がたまたま公明党などと同じになれば、次のステップに進めるのではないか」

インタビューの最後に、新年の2026年を表す漢字を尋ねると、安住氏は「集」を挙げた。選んだ理由として、「中道勢力を集める。結集の集だ」とした上で、次のように強調した。

「今、自民党に対抗する中道勢力は分散している。1つの大きな塊として、戦後歩んできた道を踏み外さないように、考えを同じくする人たちで結集する。政治が変な方向に行かないような政治勢力を作りたい」

与野党の議員からは、高市首相が早期に衆院の解散・総選挙に踏み切るのではないかと指摘する声も出ている。解散・総選挙のタイミングについてどのように見ているか、安住氏に尋ねると、「分からない」とした上で、次のように語った。

「いつあってもよいように準備だけはしておかないといけない。総選挙が終わった次の日から、次の選挙の準備をせざるを得ない」

そして、次の衆院選での目標については、「何とか頑張って比較第1党を目指す」と強調した。さらに、前回の衆院選では、選挙区で自民党が約130議席、立憲民主党が約100議席を獲得したことに言及し、次のような見方を示した。

「選挙区では130対100だ。あと15か20ひっくり返せれば第1党は見えてくる。そんなに遠い存在ではない。やりようによっては様々な可能性はある」

政権交代を目指す立憲民主党が次の衆院選で比較第1党に躍進し、「中道政権」を実現できるかどうか、安住氏の手腕が問われる。

(フジテレビ政治部 野党担当キャップ 木村大久)

木村 大久
木村 大久

フジテレビ政治部(野党担当キャップ・防衛省担当)、元FNN北京支局