約1年…386日間の政権運営を終えた石破茂前総理大臣。退任後はどのような思いを抱き、どのような日々を送っていたのか…その姿を追った。

「重責から解放された喜び」を率直に語った一方、地方創生への情熱は健在だ。総理時代には叶わなかった地元・鳥取との交流の時間を過ごしたり、精力的な「情報のインプット」に取り組んでいる。そして「総理経験者」として、今後、政権にも率直な発言を続ける姿勢を貫こうとしている。

「地方創生」のイベントに参加
「地方創生」のイベントに参加
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「地方創生」への思いは健在

11月に東京駅近くの複合施設で開かれた「持続可能な地域づくりに向けたデジタル技術の活用」がテーマのイベント。至る所にSPが配置された会場に石破前総理が姿を見せた。

「地方に雇用と所得、そして生きがい、強い日本でもなく豊かな日本でもなく楽しい日本というのをどう作るか。楽しい日本と言ったら私は国会でめちゃくちゃぶっ叩かれた」と語ると、会場からは笑いが起こる。

「でも楽しい日本作ろうねって言ったら、バッシング浴びるのって何かおかしくないですか?」と続けるなど“石破節”は健在だ。

ライフワークとする「地方創生」のイベントに招かれた石破前総理。

イベントには、島根・大田市の石見銀山を拠点に衣類や雑貨販売を手がける「群言堂」の松場忠社長も参加。都会と地方を行き来する新しいライフスタイル「2地域居住」の取り組みについて意見を交わした。

「群言堂」(島根県大田市)のブースにて
「群言堂」(島根県大田市)のブースにて

「情報のインプット」に精力的

石破前総理は「総理を1年やっていると蓄積できない、放出するばかりだったから。やめると今まで知らなかったことがこんなに多いんだと痛感しますね」と話す。

総理の座を退いた今、精力的に取り組んでいるのは「情報のインプット」だ。

議員会館で入念に資料を読み込む
議員会館で入念に資料を読み込む

永田町の議員会館に戻っても休むことなく、次の医師会の会合のために入念に資料を読み込む姿があった。

「5分のスピーチだと、ポイントをきちんと押さえないとなんのためにスピーチするかわからないからね」

「本の虫」と言われる石破前総理の議員会館の自室には、本が棚に入りきらず山積みになっていた。

「世の中に知らなきゃいけないことが100あるとすればね、自分が知っていることは1か2ぐらいのもんでね。99とか98は知らないわけで、それはまずいですよね」と語る。

 地元・鳥取を大切にする姿勢

毎週のように地元入りし住民と交流を深める
毎週のように地元入りし住民と交流を深める

総理時代、地元・鳥取への“お国入り”はわずか1度だけだったが、退任後はほぼ毎週のように地元入りしている。

退任直後には三朝町へ、その翌週は八頭町の町制20周年式典に出席。
さらにその翌週も若桜町で開かれたイベントに参加し、地酒を味わい、射的を楽しみ、鉄道グッズも手に取った。
「握った手の数しか票は出ない」という信条を持つ石破前総理は、総理在任中に叶わなかった地元との交流を取り戻すかのように精力的に動いている。
「いいね、地元に帰るというのはね...東京に帰りたくなくなるね」と名残惜しそうに地元を後にした。

辞めた次の日の朝は…総理の重責

総理時代を振り返る石破氏
総理時代を振り返る石破氏

石破前総理は「辞めた次の朝は嬉しかったな。この日から全責任負わなくて済むんだというのは、感動的に嬉しかった」と語る。
総理大臣を務める重圧は、想像できないほど大きかったのかもしれない。

総理の重責は「やった人でないとわからない、絶対わからない」と強調する。

『石破君、総理になると誰も本当のことを言ってくれないんだよ』と、親交があった福田康夫元総理の言葉を口にした石破前総理は、自身の総理時代を振り返り「そうだったかもしれない」と静かに呟いた。

総理経験者として現政権に『異論』も

高市総理の政権運営に対しても歯に衣着せぬ発言が目立つ。

地元で開いた国政報告会では「自公連立を解消したのは、私は決して正しいとは思っていない」「私の時に『米は増産する』というふうに方針を転換しました。それは間違っておったと私は全く思っておりません」と、自らの政権運営を振り返りながら現政権への見解も述べた。

総理経験者として、そして鳥取県選出の一議員として、石破前総理はこれからどのような政治姿勢を貫いていくのか…その行方が注目される。
(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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