ニセの警察官からの電話や投資家、有名人をかたるSNS、これらは今年目立った詐欺の手口です。今年はこうした詐欺被害が過去に例を見ない多さで、その手口は実に巧妙です。今年を振り返り、具体的なケースを例に、だまされないためにどうすべきかを考えます
「たまたま取った電話が人間の声じゃなくて機械の声のようだったので…すぐ切って番号を見たら海外の番号だった。それを切った後、海外からの電話が結構入って来た」
これは、不審な電話を受けたことがあるという人の経験談です。
国際電話からの不審な着信は、詐欺の危険は県内でも身近に迫っています。
今年1月から11月末までに福井県内で確認された「オレオレ詐欺」や「架空料金請求詐欺」などの特殊詐欺の被害件数は、去年の同時期と比べて38件多い64件、被害額は約3億6000万円で、去年を2億円ほど上回っています。
今年、特に多く見られたのはニセ警察官による詐欺です。
福井テレビでは、県内に住む男性に実際にかかってきた電話の音声を入手しました。男性は、国勢庁の職員をかたる人物からの電話を受け、転送された先でのやり取りです。
ニセの警察官:
「はい、こちら警視庁組織犯罪対策部総務課です。どうしましたか?」
通報者:
「いま国税庁のオオタさんから税金が未納になっていると連絡があって。2024年7月10日、タイに行って革製品を大量に買い、その税金が未納になっていると…私の個人情報が利用された可能性があるということで、こちらに相談してみてくださいと言われたんです」
ニセの警察官:「ご自身は身に覚えがないという事ですね?」
通報者:「はい」
ニセの警察官:「個人情報が不正に利用された可能性があるから被害届を出されるということですね?
通報者:「はい」
ニセの警察官:「まず、個人通報記録をというものを取らせてもらいます。分かりやすく言うと事情聴取ですね。1対1の対面で話すのが規則になっているんですが、最近では遠方からの問い合わせが多いので、電話での対応もできます。本人確認をさせていただく必要があるのですが、ビデオ通話等できるものお持ちですか?(中略)LINEも対応しています」
このやり取りは、県警が男性の協力を得て記録していたもので、この後、男性は事情聴取の名目でビデオ通話に誘導されましたが、被害はありませんでした。
県警によりますと、実際の詐欺被害に遭ったケースでは、犯行グループは最終的に「犯罪の潔白を証明するため」との理由で指定した口座に現金を振り込ませてだまし取るといいます。
また、犯人からは偽の警察手帳と逮捕状の画像を見せられる場合もあり、県内の詐欺被害者によりますと、一般的に目にすることがないものだけに信じ込まされてしまうといいます。
県警本部生活安全企画課・犯罪防止対策室の真杉順子室長は「警察は、電話であなたに容疑がかかっているということは絶対言わない。SNSや電話で現金の出金や振り込みを指示することもないので、電話でこういったワードを言ったときには詐欺だと思ってほしい」と呼びかけます。
こうした特殊詐欺は+から始まる国際電話番号からの着信が多いため、警察は国際電話の利用を休止したり、着信を規制するアプリを活用したりといった対策を呼び掛けています。
今年の詐欺被害で目立つ、ニセ警察官に金をだまし取られる被害。対策のためにも、国際電話の利用休止や着信規制アプリの導入を検討してみてください。