「空」のはずが次々と給油…

追跡を続けた問題のタンクローリーは、多くの軽油を乗せた疑いがあるまま、川崎港の水底トンネルへ。トンネルを抜けた後も、積載物の表示は空欄のままだった。

しかし、納入先に着くとホースを出し、空に近いはずのタンクローリーからなぜか給油が次々と行われていた。

着いたのは、羽田空港そばの納入先。水底トンネルは、他の道に比べて4、5倍早く到着できる圧倒的な近道だったのだ。

タンクローリーは水底トンネルを通った後も納入先への給油を繰り返したことで、表示の空欄は偽装で、多くの軽油を積んだまま違法に水底トンネルを通った疑いが強まった。

運転手は違法性認識

運転手を仕事終わりに直撃すると、「記憶にない」。そこで、水底トンネルの通過や、納入先への給油を映像に収めていたことを示すと…。

記者:
水底トンネルを通ったら捕まるかもしれないから「空」に変えた?

運転手:
そうですね。

記者:
つまり、違法性の認識はあったと?

運転手:
あー、そうですね。

違法性の認識があったと認めた。また、ほかの従業員についても「やっていたんじゃないかな」と話した運転手。水底トンネルを違法に通行する頻度について、「月数回はあると思う」と答えた。

事故が起きれば大惨事となる恐れについては、「ダメですね」。また、取り締まりがあったとしても、「中まで見ないから、と(見習い時に)言われた」と明かした。

会社の社長はこうした実態を把握していたのか。記者が直撃すると、水底トンネルの違法走行をしていたことについて、「認識はない」「まったく知らなかった」とした。

なぜ、社員の間で危険な違法行為が行われていたのか。

記者:
社長の知らないところで常態化していた?

会社社長:
そうだね

記者:
運転手たちが勝手にやっていた?

会社社長:
だろうね。(運転手に)厳重注意だね。

会社として安全管理は徹底していたのか。社長は「していた」としつつ、「20年近く前かもしれない。言った覚えはある」と話した。

「明日から違法通行をやめるのか?」という記者の問いには、「やめさせるでしょう」と答えた。

水底トンネルの日常的な違法通行は、事故が起きれば大惨事になり得る。取り締まりは機能していたのか。

首都高速道路株式会社は取材に、「取り締まりは定期的に行っている」とした一方、「中身はチェックしていない」と明らかにした。理由について「危険物もあるため、現物を直に確認するのは困難」と説明する。

神奈川県警は違法通行の事実について、「このような実態を把握した際は、関係機関と連携し、厳正に対処します」とコメントした。
(「イット!」12月18日放送より)

▼情報提供のお願い調査報道プロジェクト「スポットライト」では「水底トンネル違法通行問題」を継続取材しています。情報提供して下さる方は、ぜひこちらまでご連絡下さい。https://www.fujitv.co.jp/spotlight/

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