西九州新幹線の並行在来線沿線の自治体や佐賀県が本数維持を求めてきた特急の減便が正式に発表された。来年春のダイヤ改正で14本から10本に減便となる。一方、西九州新幹線に接続する特急は4本増便される。
「江北-武雄温泉」間は4本増便
12月12日、JR九州は会見を開き来年3月14日のダイヤ改正について説明した。
長崎本線の博多-肥前鹿島間を走る「特急かささぎ」は、現在の上下線14本から10本へと減便されることが正式に発表された。
一方、西九州新幹線に接続する特急リレーかもめなどが4本増便される。

JR九州取締役常務執行役員 貞苅路也鉄道事業本部長:
江北-鹿島間、14本の特急を今回10本に変更させていただきます。また、江北-武雄温泉間の特急を67本から71本へと、こちらにつきましては4本増とさせていただきます

具体的には、午前10時18分、午後4時34分に博多を出発していた下り線、午前11時54分、午後7時34分に肥前鹿島を出発していた上り線がなくなることになる。
特急減便の一方で普通列車を増便
肥前鹿島方面について特急の本数は減ったが、普通列車は江北-肥前鹿島間で2本、肥前鹿島-肥前浜間で3本増便される。

そのほか、リレーかもめなどの特急列車が新たに江北駅で停車するようになり、乗り換えの機会が増える。鹿島方面の特急の直通運転が少なくなったが、乗り換えでその減便分を一部カバーするダイヤ改正となっている。
「不便になる…でも乗客少ないから」
今回のダイヤ改正について、影響を受ける並行在来線沿線の鹿島市の声をきいた。
鹿島市 松尾勝利市長:
鹿島の特急が減るということに対するイメージの低下があると我々は思っていた。JRが決めることなので、しっかり受け止めたいと思っている

減便される「特急かささぎ」の利用客はどのように受け止めているのだろうか。
月に2回ほど利用するという鹿島市民は「不便になりますね。でも乗客が少ないからですからね、難しいところ。江北駅などでの接続を良くしてほしいということが一番ですね」と減便に落胆しながらも利用客が少ない現状を認識せざるを得ない複雑な心境を語った。

仕事で訪れる利用客にも影響を及ぼしそうだ。
福岡から仕事で利用している人:
きょうも訪問営業自体は11時なんですけど、これ一本逃すともう間に合わない。佐賀県や長崎県は工場とか製造業の企業が多いので、本数減るときついのかなというのはある

また、遠方からの客の訪問も多いという油圧プレス機などを手掛ける鹿島市の企業は「市長や県知事が交渉していたから期待していたんですけど、それはかなわなかったのは残念」と話す。
森鉄工 森孝一社長:
客先からは不便だということを言われますね。(乗り換えなど)説明してあげないといけない

特急の減便に対し落胆の声を漏らす一方、鉄道を積極的に利用するなど地元の努力の必要性についても指摘する。
森鉄工 森孝一社長:
業務は全部電車で行けと、佐賀までは。車で行くなと言っていた。地元がそういう努力をしないといけないし、たくさん人が来てくれるよう地元も努力していかないと
今後の特急減便「現時点ではない」
また、今後さらに特急本数が10本より少なくなる可能性についての質問にJR側は次のように答えた。

JR九州取締役常務執行役員 貞苅路也鉄道事業本部長:
それにつきましては、佐賀県さまとの合意した内容等もございますので、現時点ではないものかなと思っています

九州新幹線長崎ルートについては「新鳥栖-武雄温泉」間の整備方式やルートも決まっていない。並行在来線沿線の特急減便が、今後の国やJR九州、長崎県との協議に影響するのかどうか注目される。
