珠洲市蛸島町の球場に、子どもたちの歓声が響き渡った。ロサンゼルス・ドジャースの佐々木朗希投手が姿を現したのだ。今年、球団史上初となるワールドシリーズ2連覇に大きく貢献した佐々木投手は、この日、能登の子どもたちのために野球教室を開催した。
自身の震災経験が原点に

岩手県出身の佐々木投手は、小学3年生の時に東日本大震災を経験した。当時、プロ野球選手やOBが被災地で開催した野球教室は、幼い佐々木少年にとって忘れられない思い出となったと言う。その経験が、今回の能登での野球教室開催の原点になっている。

「まだまだ復興の途中だと思いますけど、僕らにできることを考えながら、皆さんと一緒に復興に向けて頑張っていけたらと思います」と佐々木投手は語る。自身が震災で受けた支援を、今度は能登の子どもたちに還元する形だ。

メジャーリーガーに質問攻め
野球教室には、能登の小中学生約190人が参加。佐々木投手はロッテ時代のチームメイトだった高野脩汰投手と共に講師を務めた。佐々木投手は、早速子どもたちからの質問攻めにあった。

「制球を良くするにはどうすればいいですか?」という質問に対し、佐々木投手は「投球フォームが一番大事だと思う。そのためにこの動きするには、こういうトレーニングが必要とか、そういう風にやっていけばいいから、フォームが大事かな」と丁寧に答えていた。

佐々木投手は子どもたちにボールの投げ方などについて具体的なアドバイスを送り、時折笑顔を見せながら一人一人と向き合う姿が印象的だった。
子どもたちの憧れの的に

現役のメジャーリーガーと過ごした時間は、子どもたちにとってかけがえのない経験となった。参加した子どもたちからは感嘆の声が上がる。

「メジャーリーガーの野球教室は初めてだったのでうれしいです」と満面の笑みを浮かべる少年。

また別の少年は、「身長もでかいし、足と腕がめちゃくちゃ長くて『人間なのかな?』って思った」と佐々木投手の恵まれた体格に驚きの声をあげる。そして「将来は佐々木朗希選手みたいな腕と足が長い選手になって160キロを出したいです」と将来の夢を語った。

未来につなぐメッセージ
野球教室の最後、佐々木投手は子どもたちへのメッセージを残した。「将来大きくなった時に、今回のことを少しでも覚えてくれていたらうれしいなと思っています」

かつて被災地の野球少年だった佐々木投手が、今は世界の舞台で活躍するメジャーリーガーとなり、今度は自分が子どもたちに夢を与える側になった。その姿は、能登の復興への希望を象徴するようでもあった。佐々木投手と能登の子どもたちとの間に、野球を通じた特別な絆を生み出した今回の野球教室。その絆は復興への道のりを進む能登の大きな力となるに違いない。

(石川テレビ)
