西九州新幹線の並行在来線を走る特急列車について、沿線の自治体と佐賀県はさらに減便せず本数の維持を求めてきたが、JR九州は来年春のダイヤ改正で14本から10本に減便することを佐賀県などに報告した。

特急本数の維持求めていた沿線自治体

西九州新幹線の開業に伴い並行在来線となったJR長崎本線は特急列車の本数が3分の1以下の14本に激減した。

JR長崎本線の「博多-肥前鹿島」間を走る特急列車「かささぎ」
JR長崎本線の「博多-肥前鹿島」間を走る特急列車「かささぎ」
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並行在来線の沿線では「新幹線の恩恵は全然受けていない」と不満を口にする住民も多い。

その長崎本線の「博多-肥前鹿島」間を走る特急列車「かささぎ」について、JR九州の古宮社長は来年春のダイヤ改正で減便する考えを示していたため、佐賀県と沿線自治体は本数の維持を求めていた。

特急さらに減便 14本から10本に

この問題について、JR九州の佐賀鉄道事業部の阿部俊浩部長など3人が12月11日午前、佐賀県庁を訪れ、地域交流部の寺田博文部長と非公開で面会した。

佐賀県庁を訪れたJR九州の佐賀鉄道事業部の阿部俊浩部長など3人(12月11日)
佐賀県庁を訪れたJR九州の佐賀鉄道事業部の阿部俊浩部長など3人(12月11日)

JR側は来年春のダイヤ改正について、これまで示してきた案と同様、博多から肥前鹿島を走る特急「かささぎ」を14本から10本に減便すると報告したという。

これに対し県側は、「地元の合意をもとにした特急の本数維持を求めてきたが、決定権はJR側にある」としたうえで、今後、県内の新幹線の整備をめぐる議論については慎重に進める必要があるとの認識を示した。

佐賀県地域交流部 寺田博文部長:
新幹線ができれば在来線の特急本数は利用状況に応じて減らされるということの証左です。(特急本数の)約束をしてもこういう状況になるということは、教訓にしていかなければならないですし、そのためにもしっかりとした地元での意見交換、地元でのしっかりとした合意が必要だと認識した

一方、今回のダイヤ改正には普通列車の増便など「利便性を維持する」とした内容も含まれている。

沿線自治体「思いが伝わらなかった」

また、特急「かささぎ」の減便について、沿線の自治体のひとつ、鹿島市の松尾市長は「我々の思いが伝わらなかったと思っています」と述べた。

鹿島市の松尾市長
鹿島市の松尾市長

九州新幹線長崎ルートについては「新鳥栖-武雄温泉」間の整備方式やルートも決まっておらず、新幹線をめぐる課題は山積している。