2025年8月に鹿児島県霧島市や姶良市を中心に発生した大雨から4カ月が経過した。姶良市の国道にかかる網掛橋など通行止めが解消された箇所もある一方、いまだに復旧の見通しが立たない道路も存在する。その一つが霧島市隼人町松永地区の県道475号だ。地元住民の日常生活に影響が出ている現状を取材した。
2.3キロの区間が通行止め続く
霧島市隼人町から霧島神宮を結ぶ県道475号豊後迫隼人線。この道路のうち、霧島市隼人町松永の2.3キロの区間が現在も通行止めとなっている。
松永地区自治公民館の津曲博明館長の現地確認に同行した。現場を見た津曲館長は「そこにある、あの大きさのもの(石)があそこまで落ちてきたという感じ。水の量を制限する、あるいは止めるという施策を足らない限り永久的に発生する」と懸念を示した。
複数の危険箇所が復旧を困難に
この場所では8月の大雨で2カ所の斜面が崩落した。道路を覆っていた倒木や岩などの除去は完了しているが、斜面を見上げると巨大な岩に番号が振られているのが確認できる。
県によると、道路横の斜面崩壊は2カ所ともに高さ50メートル、幅40メートルほどで、それぞれ斜面の途中には不安定な岩や石が多く残されており、落石の恐れがあるという。
さらに別の場所では、表面上は問題がないように見える道路だが、実は路面の下に空洞があることが判明し、陥没する恐れがあるとのことだ。

県の調査によると、この空洞は崖から流れた水により道路下の地盤がえぐられてできたとみられている。空洞は反対側の谷まで達し、50メートルほどの長さになっているが、深さや形状など詳細は不明だという。
地元住民の生活に影響
長期化する通行止めは付近の住民の生活にも大きな影響を及ぼしている。
津曲館長は「この県道を中心として側道があるそこがこの付近の住民の生活道路。狭いセンターラインがない道路を初めての人が走ると(地元住民は)身の危険、運転の危険を感じる。仮復旧は喫緊の課題」と早期復旧の必要性を訴えた。

復旧の見通し
地元住民が一刻も早い復旧を願うものの、地形上、この場所では仮復旧が困難な状況だ。県は道路下の空洞については今週、国の災害査定を受けた上で2026年2月に着工し、2026年度中の復旧を見通している。
また、崩壊した斜面については、岩を砕いたり固定する工事などが2026年2月末に始まる予定だが、完了時期は未定となっている。
地域住民の生活を支える重要な道路インフラの早期復旧に向け、行政の迅速な対応が求められている。
(動画を見る▶【復旧未定】“道路の下がえぐられた” 鹿児島・主要生活道路で落石と陥没の恐れ、通行止め続く)
