去年1月に発生した能登半島地震は「水のような流体」が引き起こしたとされているが、金沢大学などの研究グループは、この流体の起源が「太平洋プレート」にあることを突き止めた。この発見が将来の大地震予測につながる可能性があると注目されている。

「流体」の起源明らかに 大地震の予測が可能に?

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金沢大学の平松良浩教授を中心とする研究グループは、2022年から珠洲市周辺で定期的に温泉水や地下深層水を採取し、中に含まれる化学成分の変化を測定してきた。その結果、地球内部のマントルに含まれるヘリウムの成分が多く検出されたことが明らかになった。

 平松教授は、この成分の出所について「日本列島の下には太平洋プレートが太平洋側から地球内部に沈み込んでいるんですね。能登半島の下だと深さ250キロぐらいにあります」と説明する。

太平洋プレートが地下深くに沈み込むと、温度や圧力が上昇し、プレート内部の水がマントルに吐き出される。この水はマントル内を移動し、能登半島の地下15キロから20キロメートルの場所に蓄積された。その量は約2900万立方メートル。東京ドーム約23倍分とされている。これにより断層内の圧力が高まったり、摩擦が減少して滑りやすくなったりしたことで、
能登半島地震の震源とされる断層のずれが引き起こされたと推定されている。

平松教授はマグニチュード7.6の能登半島地震と流体の関係について、「地震を起こした断層は基本的に外浦側から能登半島の下に斜めに傾斜するような断層で、そこで起こっているのですが、ここに上がってきた流体の一つがそういう断層に入っていって地震活動を起こした」と分析している。

将来の地震予測への応用可能性

今回の研究成果が今後の地震予測にどのように役立つのか、平松教授は「近年の研究で、大地震の発生と地下にある流体の関連性が高いのではないかということが指摘されているんですね」と述べている。

さらに「もし地下にある流体の分布が完全に把握することができて、地上で採取できる水の化学成分と合わせて分析すると、より大きな地震を発生させる可能性がある所を特定することなどに役立てることができるのではないか」と展望を語った。

この研究成果により、地下の流体分布と地震発生の関係の解明が進み、将来的には大地震の予測技術の向上につながる可能性がある。地下水の化学成分分析という新たなアプローチが、地震防災における重要な手がかりになることが期待される。

(石川テレビ)

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