ゆったりとした時間が流れる飛騨古川。岐阜県飛騨地方の中心部に位置するこの街は、自然と歴史が見事に調和した風情ある街並みが魅力だ。白壁土蔵が連なり、清流が流れるこの地で、今回は「飛騨の職人技と薬草に触れる旅」をテーマに訪れた。

風情と匠の技が織りなす旅路 〜岐阜県飛騨古川を訪ねて〜

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飛騨古川にある瀬戸川と白壁土蔵街。約500mにわたって白壁土蔵の街並みが続いている。かつて城下町として栄えた面影が色濃く残るこの景観は、訪れる人々を魅了してやまない。

飛騨の匠文化館。880年以上の歴史を持つ堂々とした柏の木が迎えてくれる。この施設は地元の大工たちによって建てられたもので、驚くべきことに釘を1本も使用していない。

すべて飛騨産の木材でつくられ、軒下には建物に関わった大工の紋章である「雲」が施された装飾が見て取れる。

「木の国」と称される飛騨の匠の技を、この建物自体が体現しているのだ。館内には実際に飛騨の大工が使用した道具も展示され、匠の技を身近に感じることができる。

この施設では組木体験も可能だ。匠の秘技と言われる「千鳥格子」に挑戦。一見シンプルに見えてその精密さに驚かされる。木材同士が絶妙な角度で組み合わさり、一切の接着剤や釘を使わずに強固な構造を生み出す技術に、西岡アナも感嘆の声を上げていた。

飛騨の匠文化館2階からは白壁土蔵街も望め、畳の部屋でゆっくりと景色を眺めるのもまた格別だ。

230年の歴史を誇る「三嶋和ろうそく店」

街を歩いていると、赤い看板が見えてきた。江戸時代から230年続く「三嶋和ろうそく店」だ。

このわろうそくの特徴は、すべて手作りで原料も天然の植物性であること。そのため、すすが出にくく風が吹いても消えにくいという特性を持っている。

店主の三嶋順二さんは「朝4時から夕方の6時まで、13時間から14時間かけて白のろうそくを作り、それから赤をつくります」と、ろうそく作りの工程を丁寧に説明してくれた。その場で実演してくれた職人の手さばきは見事で、50℃ほどの液体を白のろうそくに流しかける。わずか5秒ほどで固まっていく様子に驚かされた。

固まったろうそくを触らせてもらうと、「熱くない。ツルツル、なでてもツルツル」と店主。かつて電気のない時代、このろうそくは人々の生活に欠かせない必需品だったという。今も変わらぬ技術で作られる和ろうそくは、古き良き日本の文化を今に伝えている。

 絶品!飛騨牛を味わう「味処古川」

飛騨と言えば、やはり「飛騨牛」は外せない。国内有数のブランド和牛として知られる飛騨牛を味わうために訪れたのは「味処古川」。

飛騨のおばあちゃんたちが心を込めて料理を提供してくれるこの店は、地元でも人気のスポットだ。

注文したのは「飛騨牛朴葉みそステーキ定食」。地元の朴葉味噌と一緒に焼く飛騨牛は、まさに絶品。一口食べれば、その柔らかさと風味の豊かさに思わず笑みがこぼれる。

「味噌は甘めの味噌で、ほうばの香りも口の中いっぱいに広がりますね」と、その美味しさに感激の声が上がった。店員に尋ねると、使用しているのは高山のお店の味噌で、様々な調味料で味付けされているとのこと。

店内には売店も併設されており、飛騨のお土産も購入できる。

地域資源として活用される「飛騨の薬草」

旅の締めくくりは、飛騨の薬草に触れられる施設「ひだ森のめぐみ」

森林が9割を占める飛騨市には245種類以上の薬草が自生していて、古くから人々の「薬箱」のような役割を担ってきたという。

現在、飛騨市では薬草を地域資源として生かす街づくりに取り組んでいるのだ。

「特に飛騨市でイチオシ、ニオシの薬草と言いますと、クズとメナモミです」と説明してくれたのは、施設の蒲貞憲さん。

クズの根は葛根湯として、解熱とか風邪の症状によく使われる。クズの花は肝臓に良いという事が江戸時代くらいから伝えられている。

またメナモミは、高血圧など、血液をさらさらにすると言う。

飛騨の人々は古くから味噌文化、漬物文化、塩文化、酒文化の中で生きてきたため、高血圧や肝臓疾患が多いのだという。そうした地域の健康課題に対応するため、薬草の活用が進められていると言う。

この施設ではさまざまなワークショップも開催されており、今回は「薬草七味作り」に挑戦。

自分の体質や悩みに合わせて薬草を選び、オリジナルの七味を作ることができる。冷え症やストレスに悩む西岡アナに、トウキがオススメだという。さらにストレスに…と、クロモジもたっぷり投入していた。

「薬草というのは普段の身の回りにあるもの、自然の力・パワーです。どうぞ毎日の生活に生かしていただきたいと思います」と蒲さんは語った。

飛騨古川の歴史ある街並みと飛騨の職人技、そして心と体に優しい薬草文化に触れた今回の旅。時間がゆっくりと流れるこの街で、心満たされる体験をすることができた。瀬戸川沿いの白壁土蔵街は、4月から11月までは鯉が泳ぎ、また趣のある景観を楽しめるという。四季折々の表情を見せる飛騨古川。あなたも訪れてみてはいかがだろうか。

(石川テレビ)

石川テレビ
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