福井県内の魅力を再発見する「小旅」のコーナーでは今回、福井市足羽山にある市の自然史博物館を訪ねます。自然に癒やされながら、大切に受け継がれる歴史を肌で感じてきました。
福井市中心部に位置する足羽山は、市のシンボルとして市民に親しまれ四季折々の自然を楽しめます。いまは紅葉のピークを過ぎ冬へと移ろう季節です。
山頂に建つ福井市自然史博物館は、73年前の1952年に開館しました。
館内では、足羽山や県内に生息する動物や昆虫の剥製や標本が展示され、県内の自然を学ぶことができます。
出迎えてくれたのは、学芸員の永田祐基さんです。永田さんの担当は天文で、秘密基地のような「アドベンチャーシップ」という部屋があります。
入ってみると正面にスクリーンがあり、団体客にシアターという形で映像を見たり、天体観望会の時にこの部屋を使って星の話をしています。
このシアターは昭和の開館当時からありますが、そのデザインは近未来的で、こどもから大人まで夢中にさせる特別な部屋です。
階段を上っていくと、屋上にはドーム型の天文台が。こちらも開館当時に建てられたものです。
ドーム内には惑星鑑賞に最適な口径20センチの大きな屈折望遠鏡が設置されています。
学芸員の永田祐基さんは「ここにある大きな望遠鏡を使って、夜に天体観望会があるときにはみんなに覗いていてもらい星を楽しんでもらっている」といいます。
博物館では、夜の観望会がたびたび開かれていて、月や金星などの惑星を鑑賞することができます。土星の特徴的な環や、木星の縞模様までくっきりと見ることができます。
永田祐基さんは「普段星空を何気なく見ていると思うが、この望遠鏡を使うとまるで宇宙の奥を見ているかのように普段なら点にしか見えないような天体も、もっともっと綺麗なんだぞというのを見てもらえる。私自身も感動しているのでそれを共有出来たらうれしい」と話します。
福井市を一望できるテラスに、足羽山が育む豊かな自然。そして大切に受け継がれる 宝。自然史博物館は、今も昔も福井市のシンボル足羽山からはるか遠い星の輝きを見守り続けています。
<福井市自然史博物館>
場所:福井市足羽上町
※市内を流れる足羽川の南、足羽山の継体天皇像の近く
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