人手不足や物価高騰、技術の進展などを背景に進む「無人化」。地方都市の福井県も例外ではありません。北陸新幹線延伸から2年、観光客が増えた敦賀駅前に最近オープンした2店舗が、共に無人店舗に挑んでいます。
敦賀駅西口のロータリー。駅から徒歩1分の場所に去年12月にオープンしたのが24時間営業の無人販売店「omiya24」です。
Q.何買ったー
「フグのてっちりです。湯引きとひれ酒セットもついている」
店内には自動販売機が設置されていて、敦賀名物「かたパン」や小牧かまぼこ、敦賀ふぐのてっちりセットなど様々な土産物が並びます。
運営するのは、敦賀駅交流施設「オルパーク」内で土産物店「ヒビコレクト」を運営する「エコシステム」です。
近くに2店舗目をオープンした理由についてエコシステムの今村さんは「敦賀駅オルパークで特産品の販売をしているが、営業時間外の問い合わせが多く、その声に応えるため」と話します。
交代を含めて1日延べ2人で店を回している「ヒビコレクト」は、営業時間が午前9時から午後6時まで。しかし、敦賀駅のホームでは午前5時台から午後10時台まで北陸新幹線や特急が発着しています。
エコシステムでは、「ヒビコレクト」の営業時間外に取りこぼしていた客に注目し、店舗の延長営業ではなく、24時間営業の無人店舗で売上アップを狙います。
「無人販売にすることで人件費の削減にもつながる。昨今は求人してもなかなか人が集まらないので、無人だとより効率的に事業展開できる」(今村さん)
自販機の売上は、「ヒビコレクト」の営業時間外である早朝から午前8時台と、午後7時から午後9時までの時間帯が全体の4割近くを占めるといいます。
さらにこの店舗では、商品の在庫をWEB上で管理していて、数量が一定数を下回った時点で随時補充をするので、人が定期的に確認に来る必要がなく、業務の効率化が図れます。
無人販売のメリットを生かし、人出を増やすことなく事業拡大につなげたのです。
一方、同じく敦賀駅西口にあるビルの1F フロアに2月、無人化を価格に反映した施設がオープンしました。
チェックインからチェックアウトまで完全無人システムを採用した男性専用のキャビンホテルです。広さ約2畳の部屋にベッドと布団のみがある、至ってシンプルな造りです。
運営するDNKの引場さんは「キャビンホテルということで、カプセルホテルよりも広く、ビジネスホテルよりもリーズナブルに利用してもらえる。出張などビジネスでの利用はもちろん、飲み会後や終電を逃したとき、雪などで帰宅が困難な時に気軽に利用してもらえる」とします。
部屋は、壁とアコーディオンカーテンで仕切られていて、プライベート空間はしっかりと確保されています。トイレとシャワールームは共同で、飲食やビジネスでの利用を想定したカフェスペースも備えています。
そして魅力は価格。いつ宿泊しても税込み4000円です。
「チェックインを完全に無人化してスマホとタブレットを連携することで、人件費を抑えて一定の価格を保っている。他にも無駄な装飾やサービスを省くことでコストカットにつなげている」(引場さん)
無人化によりスタッフを常駐させる必要がないので、駅前の好立地にも関わらずこの安値を実現しています。
防犯面にも配慮し複数のカメラを設置。万が一の時は近くのスタッフが対応する体制を取っています。
無人化で24時間の利便性を高める動き。そして、必要最低限のサービスで価格に還元する取り組み。共通するのは「客のニーズにどう応えるか」です。
有効求人倍率が全国トップの福井県。企業は人手不足や人件費高騰という課題を抱えていて、先日、福井市のホテル内にも無人コンビニがオープンしました。
「客のニーズに応える」無人化の動きは、今後も増えていくかもしれません。