橋本元五輪相「前例としてはいけないが…」
これを受け、政府の方針が変わるのか、木原官房長官に聞いた。
記者:
過去の閣議了解との整合性についても説明をお願いします。
木原官房長官:
これまで閣議了解により国による大会運営費への支援は行わないこととしておりましたが、政府としても今般の国会の意思というものをしっかりと受け止め、大会の成功に向けた必要な支援等の取り組みを講じていく考えであります。

一方で、この奥の手は、むしろ“禁じ手”だと語ったのは、東京オリンピック・パラリンピックにも尽力した重鎮議員。
「補助はしないと決まっていたのに、カネを出させるためだけの法律を作るなんてのは馬鹿げた話。国が費用を出すと、今後も他の大会に出さないといけないという前例を作ってしまうことになる」と指摘した。

橋本聖子元五輪相は取材に「前例としてはいけないということがやっぱり根底にある」としつつ、「非常に規模的には大きく、今後国際大会をやる上において、果たして一つの県・自治体でやっていけるかっていうことも今後の大きな課題にもなっていくと」と述べた。

さらに並行して、政府に対する“根回し”も進められていた。
「無理やり」党内から苦言も
経済対策案の文書は、政府与党が調整を重ねる中で、記述が更新されていく。
初期の段階で自民党に示された文書を見ると、アジア大会に関する記載は、わずか2行。だが、与党内で議論を経た後の文書を見ると、内容が増えていた。
「スポーツを通じて未来に向けた投資の拡大を促す」「スポーツの成長産業化を図る」といった文言が追加。さらに目次にも、「未来に向けた投資の拡大」の項目に「スポーツ」が加わっていた。

これには党内からも、ベテラン議員から「無理やり入れた感じがする」など苦言があがった。

政府は方針を変えてまで、国際スポーツ大会に国民の税金が投入される。
このことについて東京都内で聞いてみると、「物価が高いのにおかしい」「アジアなので、中国の問題もあるし、実際に人が来るのかなって若干不安もある」など懸念の声が聞かれた。
一方で、「せっかく日本で開催される大会なんで」「いろんな人が海外から来るのだったら、もっと活性化すると思う」など、スポーツの振興に期待を寄せ、理解を示す声もありました。
この財政支援などを含め18兆3000億円となった巨額の補正予算案は、来週から国会で審議される。

私たちの税金が何に使われることになるのか。その“中身”の議論に注目される。
(「イット!」12月4日放送より)
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