ユネスコ無形文化遺産登録の国内候補に、日本の「神楽」が選定された。宮崎県西米良村では、舞手の減少という課題に直面する中、「神楽講座」をスタート。村をあげて存続に取り組む。11月に奉納された西米良村の児原稲荷神社には、神楽を舞う小学生の姿があった。
ユネスコ候補「米良の神楽」の現状

国指定重要無形民俗文化財「米良の神楽」として指定されている越野尾神楽。激しく勢いがあるのが特徴だ。

新型コロナウイルス感染症流行前までは三十三番ある演目を夜通しで舞っていたが、年々舞手が減少し、現在は十三番まで減らして神楽を守っている。
舞手減少の打開策
次世代へ神楽をつなぐため、西米良村教育委員会は2025年4月、新たな手立てを講じた。

西米良村教育委員会 野添和洋教育長:
今年度、小学生と大人を対象に「神楽講座」をスタートさせた。越野尾地区はもちろん、村所地区の子供たちが参加してくれている。

「神楽講座」には越野尾地区と村所地区の小学生5人が参加し、5月から9月は月1回、10月と11月は週1回の練習を重ねてきた。

そして迎えた11月29日の例大祭当日、子どもたちは「花の舞」を披露した。
野添教育長は「子どもたちが神楽の良さを感じて、今日も素晴らしい舞を見せてくれた。ぜひ長く続けてもらい、未来永劫に神楽がつながってくれるといい」と期待を寄せた。

児原稲荷神社の甲斐法長宮司もこの取り組みに賛同し、「過疎だからこそ、地域で祭りや神楽を残す努力を」と話す。

児原稲荷神社 甲斐法長宮司:
普段は町場に住んでいる方が祭りの日は帰ってくる。そして地域が昔のように明るく活性化する。やっぱり西米良の子供たちがみんな積極的にそういうもの(神楽講座)に参加してくれたら、今後大きな成果につながってくるのではないかなと思う。
地域を繋ぐ神楽の舞
神楽継承への思いは、地域住民だけではない。

宮崎市から:
神楽は伝統的なものだからこそ、みんなが積み上げてきた歴史とかが伝わってきてすごく感慨深いなと思う。毎年小さいころから観に来ているというのもあって、こういう文化がなくなってしまうのはとても寂しいなと思う。

都城市から:
ここ数年毎年来ていて、すごく雰囲気のいい神楽だなと思って来ている。どうにか受け継いでいってほしい。残してほしいと思う。

村をあげて存続に取り組む西米良村。過疎化が進む中で、神楽は地域の存続を象徴するものとなっている。
ユネスコ登録に向けて

ユネスコ無形文化遺産登録の日本の候補となった「神楽」は、2025年度中にユネスコに提案される。その後審議が行われ、2028年のユネスコ登録を目指す。
(テレビ宮崎)