3月5日、JR広島駅南口の「エールエールHIROSHIMA」がリニューアルオープンした。
駅ビルと直結するペデストリアンデッキ開通にあわせ、福屋広島駅前店の2階と3階フロアに広島初出店を含む19店舗が加わった。
開業以来初の大規模改装、名称も新しく
広島市南区で約27年にわたり親しまれてきた大型商業施設「エールエールA館」。1999年春、広島駅南口のランドマークとして開業した。
駅前では、100万都市・広島の玄関口にふさわしい街づくりを目指し再開発が進められてきた。
“エールエール”という愛称には、市民公募によって「世界の人々に声援を送るやさしい街」という思いが込められている。
その施設が今回、開業以来初となる大規模改装に踏み切った。
約3年をかけて営業を続けながら段階的に改装し、名称も「エールエールHIROSHIMA」へと変更した。
駅ビルとつながる2階のデッキ開通
そして2026年3月5日、駅ビルからエールエールHIROSHIMAへ2階レベルでつながるペデストリアンデッキが開通。
この節目に、エールエールHIROSHIMAは百貨店とショッピングモールを融合させた「デパートメントモール」へと生まれ変わった。福屋広島駅前店の2階と3階フロアを大幅にリニューアルし、新たに19店舗がオープン。最新のコスメや生活雑貨、百貨店の枠を越えたカジュアルブランドなど幅広いジャンルが出店し、広島駅周辺で5店舗目となるスターバックスコーヒーも加わった。
来店客からは変化を実感する声が聞かれた。
「年齢層がずいぶん若いなと。でも元気になる」
「今までに比べて年代が下がった気がしますね」
近くに住む人は「1年前に駅ビルがリニューアルして、今回“エールエール”もリニューアルして、毎日のように来たい」と話していた。
さらに、エールエールHIROSHIMAの南側から猿猴川方面へとつながるペデストリアンデッキも開通した。このデッキと館内通路は、毎日午前5時半から翌日午前0時半まで通行可能。駅周辺の回遊性の向上が期待されている。
口説いて誘致した「京都ブランド」
今回のリニューアルで特に注目されているのが、2階フロアにオープンした「ア.デペシュ」。
中国エリア初出店となるこのブランドは、福屋広島駅前店が“シンボル”と位置付ける目玉テナントである。
ア.デペシュは、家具、生活雑貨、洋服の3つを軸に展開する京都発祥のブランドだ。家具の約9割を自社でデザインし、国内外の提携工場で生産。20代後半から40代前半のニューファミリー層を中心に支持を広げているという。
福屋は約2年前から出店交渉を重ね、今回のリニューアルのために口説き落とした。ブランドを運営するエーディックスの小原真一常務は、出店の決め手について振り返る。
「そこまで言っていただけるのであれば、本当にチャンスがあるのではないかと思いました」
誘致を担当した福屋の取締役・浜本尚生さんは、ア.デペシュの魅力をこう語る。
「家具をベースにして雑貨を展開するショップはありますが、ここまでヨーロッパテイストでナチュラルな感度の店はなかなかない。今後、福屋のファンをつくり続けていくためにも、長く一緒にファンをつくっていけるブランドだと思いました」
異例の“百貨店社員”がスタッフに
その出店準備を担当する一人が、福屋の社員・石原みなみさんだ。
1月下旬、雪がちらつく朝。石原さんは足早に自宅を出た。新幹線が見えるその場所は、広島ではなく京都。約1カ月間、ブランドの本拠地で研修を受けていた。
「これまで京都に来たのは旅行程度です。こんな1カ月も長期で滞在することは初めて」
石原さんには大きな役割がある。ア.デペシュの専属スタッフとして広島の店舗に立つことだ。
通常、専門店のスタッフはテナント企業の社員やアルバイトが担う。誘致した百貨店の社員がスタッフとして働くのは“極めて異例”だという。
商品の特徴や発注方法など、覚えることは山ほどある。メモを取りながら、店舗運営に関わるすべてを京都で学び、広島に戻った。
2月中旬、改装されたフロアに次々と商品が届き始めた。何もなかった空間が、大きな箱であっという間に埋め尽くされていく。
石原さんはオープンに向けた準備を進めながら、期待を込めて語った。
「こうやって商品が入ってくると、いよいよ始まるなと感じます。京都ではこのブランドのファンの方が多いと感じました。広島でも“あなたに会いに来たの”と言ってもらえるようなお店になればうれしいです」
京都に多くのファンを持つブランドが、広島で新たな出会いを生み出そうとしている。
4月には市立図書館も入る複合施設へ
今回のリニューアルは、これで終わりではない。
エールエールHIROSHIMAの8階から10階には、4月1日、広島市立中央図書館などが移転開館する。百貨店と図書館が同居するユニークな複合施設となり、高層階の景色を眺めながら本に親しめる空間が誕生する。
さらに、3月5日に開通したペデストリアンデッキも、まだ完成形ではない。現在設置されている屋根は“仮”で、今後、鳥居をモチーフにした屋根が整備される。白い屋根は照明によって色を変えられる設計で、昼と夜で異なる表情を見られそうだ。
広島駅南口の再整備は今後も続き、すべてが完成するのは2029年春の予定。駅前の風景は、まだまだ変化していく。
(テレビ新広島)
