超デラックスな45万円もする虎皮の敷物も
年末が近づくと始まるお歳暮商戦は、時代によって変化しながらも、今も昔も大にぎわい。今回は、1970年と1989年という二つの時代のお歳暮事情を振り返る。
55年前の1970年(昭和45年)、松山市のデパートが開いたおすすめのお歳暮商品を紹介する内見会だ。売れ筋は2000円から3000円程度の『食料品の詰め合わせ』だが、なかには超デラックスな45万円もする虎皮の敷物も。
またこの年は、カズノコや新巻鮭を販売の見込みより多めに仕入れてしまい、値引きして販売するという今では考えられないようなこともあったのだとか。
最先端ツールのひとつ?
バブル景気の真っ只中の1989年(平成元年)、平成元年の内見会。この年もハムやソーセージ、ノリなど3000円から5000円程度の食料品が売れ筋でしたが、グルメ志向やクール宅配便が始まったことなどを受け産地直送ギフトなども人気だったということだ。
こうした中、デパートのオリジナル商品として売り出されたのが、料理のレシピを説明するビデオソフト付きの調味料セット、その名も「オリジナルクッキングギフト」。値段は8000円。
ネットで簡単にレシピの検索ができる現代では想像ができませんが、当時はちょうど各家庭にビデオデッキが普及していて、これが最先端ツールのひとつだったようだ。

人々の価値観の変化が如実に表れている
お歳暮は日本の伝統的な習慣だが、その内容は時代とともに大きく変化してきた。虎の皮の敷物からビデオレシピまで、時代を映す鏡として愛媛のお歳暮商戦の変遷を見ると、消費文化や技術の発展、人々の価値観の変化が如実に表れている。
一年の感謝を伝える「お歳暮」という形は変わらなくとも、その中身は常に時代を反映し続けているのである。

