西九州新幹線開業から3年経っても「新鳥栖-武雄温泉」の整備方式やルートは決まっていない。佐賀県の財政負担などが課題となる中、ある専門家は「都市の栄枯盛衰を決定づける最重要要素」とフル規格化を訴えた。
得策は「西九州新幹線を前に進める」
九州新幹線長崎ルートの全線フル規格での整備を考えるシンポジウムが11月24日、佐賀市で開かれた。
このシンポジウムは「佐賀県フル規格促進議員の会」が開いたもので約300人が参加。専門家が次のように新幹線の必要性を訴えた。

京都大学大学院工学研究科 藤井聡教授:
長期的な佐賀の未来を考えたときに、どれだけ考えても、新幹線を、西九州新幹線を前に進めること以上に“得策”は、断定して言いますが、ないです
“フル規格”のメリットを強調
九州新幹線長崎ルートの「新鳥栖-武雄温泉」間は、いまだに整備方針が決まっていない。

シンポジウムでは、京都大学大学院の藤井聡教授が「関西方面からの来訪者の増加や雇用・所得の増加などが見込まれる」などとしてフル規格のメリットを強調した。

また藤井教授は、「新幹線は都市の栄枯盛衰を決定づける最重要要素。交通利便性は交通投資によって決定的に変わる。この当たり前の事実を忘れてはならない」と述べ、新幹線フル規格化の重要性を強く訴えた。
佐賀県の費用負担は1400億円超
一方、九州新幹線長崎ルートで課題となっているのが佐賀県の費用負担。県の試算では、JR佐賀駅を通るフル規格で整備した場合、負担額が1400億円以上になるとしている。

国交省は今年10月、JR九州の社長と面談した際に、佐賀県の費用負担の軽減について「法改正も含めて検討する」との見解を示した。

しかし県は「在来線やルートの課題もある。財政負担の問題だけではない」としていて、課題は山積しているのが現状だ。
