こちらは20日午後3時ごろの鹿児島県霧島市にある鹿児島空港の駐車場の映像です。
鹿児島空港の駐車場は、週末になると混雑して、なかなかとめられない状況が発生しています。
その解消のためにどのような手段が検討されているのか、他県の空港の事例を見ながら、鹿児島空港駐車場のこれからを考えます。
三連休の中日だった10月12日。
約1600台を収容できる鹿児島空港の駐車場は空港利用客の車でびっしりと埋まっていました。
入り口のゲート前にも長蛇の列が。
田中慎介記者
「駐車場の案内板は場内の全エリアが満車であることを示しています。入り口ゲートには入場を待つ車が数十台並んでいますが、ゲートが開くのはこの時間帯では5分から10分間に1回という感じです」
駐車場の警備員
「今日は3連休の中日ということもあり、利用客がきのうに比べれば少ない状況」
Q.これでも少ないんですね?
「そうですね、土曜日の午前中になると、(車が)国道まで出るか出ないかまで渋滞」
駐車場の中に入れても空きスペースを見つけることは大変です。
駐車場利用客
「奥まで行かないと(空きスペースが)分からないし、急に空いたり、出るのかなと思ったら出なかったり」
こちらのグラフは鹿児島空港駐車場が満車となった年間日数を示したものです。
コロナ禍前の2019年度と比べると2024年度、満車となった日数は1.3倍増加の83日に上りました。
なぜ、満車の日が増えたのか。
鹿児島空港を管理する大阪航空局・空港管理課の比嘉課長は次のように話します。
国土交通省 大阪航空局空港管理課・比嘉直哉課長
「主に空港バスで減便や路線廃止もあって、自家用車の利用が増加していると理解」
コロナ禍前、県内各地と空港を結ぶ空港バスは、鹿児島交通と南国交通で合わせて266便ありましたが、現在は156便と100便以上減っています。
鹿児島交通によりますと、空港バス減便の背景には、コロナ禍で運転手の離職が相次いだことに伴う人手不足があり、便数回復への具体的な目途は立っていません。
一方、県が8月、空港利用者を対象に行ったアンケートでは、空港への移動手段の第一位は自家用車で、その割合は86.9%に達しています。
アンケートでは、「バスが不便になったため、空港への乗り入れ手段を自家用車に変えた」との回答も多く、今後も自家用車が空港アクセスの主な手段であり続けることが予想されます。
この駐車場の混雑をどのようにして解消するか。
国や県、駐車場を運営する会社などで構成される検討会では、抜本的な対応として立体駐車場の設置がテーマのひとつとなっています。
4年前に立体駐車場を完成させた熊本県の阿蘇くまもと空港を訪ねました。
田中慎介記者
「阿蘇くまもと空港の駐車スペースは約2400台分です。その内、3分の1にあたる約800台分があちら、立体駐車場に収まる形です」
2016年の熊本地震でターミナルビルなどに被害があった阿蘇くまもと空港。
立体駐車場の設置はターミナルビルの建て替え計画とセットで進められました。
また、その周辺にも新しい駐車場を作った結果、阿蘇くまもと空港駐車場の収容台数は、以前より1000台ほど多い約2400台となりました。
熊本空港(株)・友清佳樹経営企画本部長
「当時と比べると、相当状況は改善しているのではと捉えている」
ただし、立体駐車場の設置には課題もあります。
国土交通省 大阪航空局空港管理課・比嘉直哉課長
「(設置)費用が発生するので、費用を回収する適切な料金体系や整備期間中の一時的な駐車場容量の確保が課題」
一般的に立体駐車場を設置する場合、従来の駐車場エリアで工事をするため、その期間は、利用客の利便性は低下します。
阿蘇くまもと空港の場合、立体駐車場設置に要した期間は9カ月でしたが、偶然のタイミングで利用客への影響はほとんどありませんでした。
熊本空港(株)・友清佳樹経営企画本部長
「(工事が)ちょうどコロナの最中、旅客者数が大幅に減った状況だったので、満車になるという状況には陥らなかった。タイミングが非常に良かった」
鹿児島空港の立体駐車場については、国と契約した事業者による調査結果が2026年2月までに出される予定で、検討会はそれを踏まえて最終的な判断を下すことになっています。
「中期的取り組み」に据えられる立体駐車場に対し、「短期的取り組み」となるのが、駐車料金の見直しです。
たとえば2時間の駐車で見てみると、九州の他の県の駐車場はそれぞれ料金が設定されているのに対し、鹿児島空港は「無料」。
この使いやすさもあり、鹿児島空港駐車場の利用時間は2時間未満が全体の70%と圧倒的多数を占めています。
国土交通省 大阪航空局空港管理課・比嘉直哉課長
「(料金見直しで)空港滞在時間の短縮などが見込まれるので、駐車枠の確保ができる。これは混雑緩和にもつながる」
北海道の新千歳空港は駐車場利用客の増加を受け、10月10日、駐車料金を改定しました。
これまで300円だった2時間の駐車料金を1000円にするなど、おおむね3倍に引き上げました。
新千歳空港によりますと、この料金改定以降、空港駐車場は一度も満車になっていないということです。
国土交通省 大阪航空局空港管理課・比嘉直哉課長
「料金を上げても利用者の数が減らず、駐車場事業者の利益だけが増えてしまうと、そもそも上げる意味がなくなる。適正な料金がどれぐらいになるかを見極めながらいくことが課題」
鹿児島空港駐車場では現在、臨時駐車場の収容台数の拡大や警備員の増員によるスムーズな誘導、ホームページ上に混雑状況をリアルタイムで表示する取り組みも行われています。
空港利用客にとって、空港への最初の連結ポイントとなる駐車場を今後、いかにして使いやすいものにしていくか。
検討会の判断が注目されます。
#鹿児島空港 #空港駐車場 #満車 #地方空港 #立体駐車場 #駐車料金 #空港アクセス