1000万円超の請求が、判決で認められたのはわずか1万7000円――。かつて1年以上も同棲した若い男女の間は、交際中に多額の金銭のやり取りがあった。交際解消後、元カノは1165万円の支払いを求め、元カレを訴えた。裁判所が彼女の主張に「疑義」を感じた背景には、オンラインカジノにのめり込む彼女の姿があった。
多額の金銭やり取り
裁判の原告は20代前半の女性(元カノ)。そして被告は女性の元カレである同じく20代の男性だ。
2人は2021年3月から2022年6月までの1年3カ月の間、京都市内で恋人として同棲していた。
その間、二人の間では「FX取引」や「オンラインカジノ」のために、1000万円を超える多額の金銭が動いていた。その金銭が「貸金」だったのか、それとも単なる「遊興費」だったのかが争われた。
元カノの主張「金を貸した」
元カノである原告女性の主張はこうだ。
2021年7月から2022年6月までに、当時の交際相手である被告に合計672万円余りを貸したが、そのうち584万円あまりが返済されていない。
また、被告は自殺を示唆するなどして、原告の祖父母や両親からお金を盗むように強要したという。
さらに、原告は消費者金融から借り入れするなどして、1117万円あまりのお金を作り、交際相手である被告に貸し付けを行ったと主張した。
そして、被告である元カレは2022年1月と6月に返金を約束し、SNSでは1500万円を精算すると連絡していたという。
原告は交際中、被告からお金を借りた事があったが、「1日2割の利息を付けて返せ」などと言われ、やむなく419万円あまりを支払ったが、これは不当なものであり返還するようにも求めた。
そのほか、「FX取引資金を返してくれない」「金をだまし取られた」などとも主張し、元彼に対して総額1165万円あまりを支払うよう求めた。
元カレは「借りていない」と主張
一方、原告の元カレである被告の男性は、「金銭を借りたことは一度もない」と真っ向から反論した。
原告から複数回、送金を受けたことは認めたものの、そのお金は「原告が被告のアカウントを利用して、オンラインカジノで遊ぶときの掛け金として送金された」と説明したのだ。
貸金ではなく、彼女が彼氏のオンラインカジノのアカウントで遊ぶための軍資金だったという。
さらに、「祖父母や両親からお金を盗むように強要した」という原告元カノの主張については、「自らの親族に対する多額の窃盗や、詐欺の責任を被告に転嫁するために虚偽の主張をしている」と反論した。
1500万円を「精算する」というSNSのメッセージは、別れ話を持ちかけられたために、交際関係を維持するために記載しただけだと説明。
そして、当時彼女だった原告にお金を貸して「1日2割の利息を付けて返せ」などと利息を付けて返すよう求めた事はなく、原告からのお金は原告がオンラインカジノで遊ぶためのお金か、被告が原告に貸したお金の返済だと反論した。
