その中でも象徴的な存在がオレガノ(推定6歳・女の子)だ。

キャットタワーの間にいたオレガノ
キャットタワーの間にいたオレガノ

2024年2月の第1回シャー猫譲渡会からチラシの表紙を飾り続けている猫だ。

「この子を多頭飼育崩壊の現場から保護したのは3年ほど前でした」と梅田さんは語る。

「地域で孤立していた高齢男性が、野良猫を40頭近くまで増やしてしまった現場でした。交通事故で轢かれる子猫も出てきたり、多頭飼育崩壊の状況を注意した人が警察を呼ばれたりと、ご近所トラブルが絶えませんでした」

梅田さん自身も、何度も「警察を呼ぶぞ」と追い返されながらも通い続け、説得を重ねて保護にこぎつけた。

「最終的に30頭ほど保護しましたが、次々と譲渡が決まり、今も我々のもとに残っているのはオレガノだけです」

カメラを向けると、“シャー”のお返事
カメラを向けると、“シャー”のお返事

過酷な環境下で人への警戒心を持つようになったオレガノ。当初はスタッフも触れることができない“上級”のシャー猫だった。しかし今では、時間をかけて寄り添ってきたスタッフには触れさせてくれるまでに変化している。

“シャー”と言いながら立ち去ってゆくオレガノ
“シャー”と言いながら立ち去ってゆくオレガノ

梅田さんによれば、「男の子のシャー猫はコロッと人に慣れてしまうこともあるけれど、女の子のシャーシャーは長引く事が多い」とのことだ。