異常な数のクマの出没が続く中、最近ベテランハンター林さんも驚く巨大クマが町に出没した。11日午後6時過ぎ、監視カメラが捉えたのは体重約400kg、体長は約2mとみられる巨大グマだ。

丸々と太った体からは蒸気が上がっている。
こうした巨大グマの出没もあり、緊張した面持ちでパトロールをする林さんが何かを発見した。

苫前町猟友会 林豊行さん(76):
これが新しいクマの足跡。(足の大きさが)約14cmはあるかな。約200kgはあってもおかしくないし、300kgあってもおかしくない。
大きなクマの足跡を発見した。隣にあるトウモロコシの畑から足跡は続いていた。
取材班:
クマが食べたと見られるトウモロコシが落ちています。
足跡のすぐそばには、林さんが仕掛けた箱わながあった。

この場所に設置された監視カメラには6日、箱わなに近づく1頭のクマを捉えていた。林さんは、あの400kg級の巨大グマと同じ個体とみている。
苫前町猟友会 林豊行さん(76):
これも大きいから同じクマだと思う。(エサを)狙うが用心深いからわなの前に来ない。

林さんは巨大グマの捕獲にむけ、エサとなる鹿の肉を新鮮なものに取り替えていた。
続いて向かったのは、雪の日に巨大グマが現れた場所だ。しかし、おりの中にいたのは巨大グマではなくキツネだった。
この日、箱わなの中にはクマはいなかったが、林さんら地元の猟友会は10月だけで3頭のクマを捕獲・駆除した。

苫前町猟友会 林豊行さん(76):
クマがいたらいつでも撃てるようにはしているが、クマを見て銃を取り出して構えると、その時にはクマはいなくなる。一番肝心なのは撃った時に一発で倒さなくてはならない。

苫前町は1915年、開拓期の集落がヒグマに襲われ、史上最悪とも言われる死者7人を出した「三毛別羆事件」が発生したクマとの因縁が深い町だ。
学習能力高い“スマートベア”も増加
12日、監視カメラが捉えた巨大グマの動きに、ハンターの林さんはある異変を感じていた。
クマが箱わなをひっくり返す。すると今度は、反対側から箱わなを揺らすように押し倒した。さらに、ずるずると引きずる姿も映っている。
苫前町猟友会 林豊行さん(76):
箱わなを倒して(エサを)食おうしてるから相当用心深い。(箱わなが)動いたのを学習して本格的にガタガタやりはじめた。

巨大グマは箱わなをゆさぶり、中からエサを出そうとしてるという。さらに、扉が閉まる入り口には近づこうとしない。
こうした高い学習能力を備えた「スマートベア」と呼ばれるクマが市街地に出没しているという。

岩手大学農学部・山内貴義准教授:
スマートベアみたいな感じで呼ばれたりするが、いろんな学習経験をしてどんどん(対策を)上回るような行動をしてしまうクマも増えている。
2023年8月、トウモロコシ畑にいるクマをドローンで撮影した映像では、クマのすぐ目の前には電気柵があるのがわかる。電気を嫌がっているのか5分ほど葛藤を続けるが、その後クマは軽々と柵を突破していった。

専門家はこのスマートベアの増加によりクマ対策はより一掃、難しいものになると指摘する。
岩手大学農学部・山内貴義准教授:
ヒグマもツキノワグマも非常に学習能力が高くて、エサに対する執着は非常に強いので、捕獲がどんどん難しくなってしまう。
(「イット!」11月17日放送より)
