「腰痛に悩む人が減らないのは“腰の後ろ”ばかりを治療しているからです。しかし腰を支える筋肉のほとんどは直接触れません」
こう話すのはプロのアスリートのボディメンテナンスにも関わる、アスリートゴリラ鍼灸接骨院の高林孝光院長だ。
今や国民病ともいわれる腰痛。
痛みを予防したり治すためには、腰を支えている筋肉の構造を理解し、必要な筋肉を鍛えることが何よりも大事だという。
腰痛に効く筋肉のほぐし方と毎晩お風呂でできる呼吸を意識した筋トレを教えてもらった。
背中を治療しても治らない
「腰痛」と聞くと、みなさんはどこに炎症が起きていると想像しますか?
多くの人は背中の腰あたりと考えて、その周辺を揉んだり、湿布を貼って安静に過ごそうとするのではないだろうか。
しかし、腰痛の原因となっている筋肉は直接触れることができないものが多く、表面を揉んでも症状は緩和するかもしれないが、根本的な治療にはなっていないと高林院長は話す。
「腰痛は英語で『back pain』と言うように、背中の広範囲を揉んで治療する傾向にありますが、これでは腰痛は治りません。
背中の筋肉は『広背筋』といい、肩関節を動かす筋肉です。広背筋は表面にあるので触れますが、ここをいくら揉んでも肩の動きしか良くなりません。
一方、前にかがんだり、後ろに反ったりするときに機能する筋肉は『腸腰筋』です。腸腰筋は、腰の骨と大腿骨を結ぶ筋肉の総称で、内臓と脊椎の間にあるので触ることはできません。
また、姿勢を保つ役割を担う『腹横筋』は、わき腹の最も深層にある筋肉で、こちらも触診はできません」
腹横筋に痛みがある時はコルセットをして安静にするよう指導されることから、「コルセット筋」とも呼ばれている。
腸腰筋も腹横筋も直接触れないなら、どういった治療法があるのか?
実は、ある特定の箇所を指でグッと押すと筋肉が刺激され、痛みを和らげることができると高林院長は話す。
