県北の庄原市にはるか昔、クジラがいた?というお話。
今に残る歴史のロマンを「ツイセキ」します。
庄原市・西城川のせき止めた部分に人だかりができていました。
【化石の発見者・大澤仁さん】
「ここへ見えるのがクジラ化石の下あご。見える限り歯がないのでヒゲクジラ類ということがわかります」
底に埋まっていたのはなんとクジラの化石です。
【化石の発見者・大澤仁さん】
「回っているのがろっ骨胸の骨ですね。形が丸く出ているので生体時の状態がそのままあらわしているのかなと」
さかのぼること…1600万年前の地層で下あごからろっ骨の部分を含め全長は4~5mほどあります。
【化石の発見者・大澤仁さん】
「ここに骨があるこれは難しいそこまでくらい」
ほぼ全身の状態で見つかるのは珍しく、発見した大澤仁さんらがクラウドファンディングで資金を募り、水中で侵食されたり流される前に掘り出そうと決めました。
【化石の発見者・大澤仁さん】
「庄原でこれだけたくさんのクジラ類が出てくるということは全国の様々な発見例を見ても、まれなところです。世界的に見てもここは貴重なところではないかなと。どちらかというと子どものクジラ化石が多い。繁殖地ではあったのではないかなと仮説ですが…」
そもそも、今回見つかった場所は庄原市の山間の川で全く海には面していません。
にも関わらず、40年ほど前から度々クジラの化石が発見されてきました。
その理由は…県北部にかつて遠浅の海が広がり、「備北層群」と呼ばれる1600万年前の地層に「歴史のロマン」が眠っているからなんです。
これまでに少なくとも19体のクジラが発見されました。
【庄原市立比和自然科学博物館・森繁光晴 館長】
「長い年月を経て海の底だった大地がだんだん隆起をしていまあがってきているということになろうかと思います」
発掘を手掛けるのは地元の有志でつくる「庄原化石集談会」です。
【参加した人は】
「これが1枚であがることはないから適当に分かれてすると思うから」
【庄原化石集談会・木吉智美さん】
「頭が一番大事なので頭はできればあまり壊れないほうが…」
専門家と連携をとりながら地元の人たちが熱意をもって研究を続けてきたからこそ、今回の発掘につながりました。
【庄原化石集談会・木吉智美さん】
「ずっと昔のものが埋まっているのはすごくワクワクするし面白いなって。ここが1600万年前には海だったんだみたいな。見えていない範囲がどこまであるかがちょっと分からないので」
周囲の岩を砕き落とし「てこの原理」で切り出す作戦です。
【化石の発見者・大澤仁さん】
「ストップ、ストップストップ!ひびが入るよ」
一度にすべてを取り出すことは難しいため、ブロックごとに分け慎重に作業を進めます。
【化石の発見者・大澤仁さん】
「地層は硬いのでどういう方法で掘るかですね。今の方法が自分たちではベストかなと思うんですけど。割れても割れたのをそのまま置いて持ち帰りしてからきれいにまた…」
そして…
【化石の発見者大澤仁さん】
「第1号!(拍手)喜ぶのはまだ早い」
無事、クジラの化石を取り出すことができました。
【化石の発見者・大澤仁さん】
「庄原の人からするとクジラ化石が発見されてもあ、またかという感じで見ているんだけど。自分たちが一生懸命しているのも、ただ喜んでよかったという気持ちじゃなくて、これから先に残したいということですね」
西城川には大澤さんが発見したクジラ化石が他にも2体あって、今年度中をめどに再び発掘したいとしています。