JR西日本は11月11日、二酸化炭素の排出を減らす次世代のバイオ燃料を岡山県内の気動車に導入しました。岡山は、バイオ燃料を広めるうえで適した条件を持っていて、営業する気動車での導入は全国で初めてです。

軽油を燃料とするディーゼルエンジンをうならせながら力強く走る気動車。岡山では、1980年代にJRの前身、旧国鉄が導入した車両も現役で運行していて、ファンの心をくすぐっています。

(前川裕喜 記者)
「気動車は電車と構造が異なる。この辺りで空気を吸ってこちらで燃焼させる。そして排気ガスが屋根の上から出る」

電気でモーターを回す電車と比べると、運行時の二酸化炭素の排出が課題となっています。こうした気動車に導入されたのが、次世代のバイオ燃料。使い終わった食用油や食品加工の際に出る油などから生成しています。見た目は軽油とほとんど同じです。

(JR西日本 岡山気動車支所 塩見知裕支所長)
「軽油もバイオディーゼル燃料も同じ性能。(乗り心地は?)乗り心地も変わらない」
燃焼させる際に二酸化炭素を排出しますが、化石燃料の軽油と比べて生成過程での二酸化炭素が抑えられます。岡山全体での導入で年間に一般家庭約2000世帯の排出量に相当する約5500トンが削減できるということです。

全国で初めて岡山で導入されたのには、理由があります。10路線あるJRの在来線のうち、電車が走れる電化された設備があるのは、山陽本線など5路線。津山線や姫新線など北部を中心に5路線は電化されておらず、気動車が運行しています。

その数はJR西日本全体の1割強となる59両で、11日から順次、バイオ燃料が導入されます。県単位では比較的、気動車の配置が多く、雪が降る地域などもあり運行に関するデータが取りやすいとされる岡山。交通の結節点としてのポテンシャルも。

(JR西日本岡山支社 林秀樹支社長)
「(岡山の)車両の整備は岡山気動車支所でできる。県外に車両基地や拠点に散っていかないので適切に管理しモニターすることが最もやりやすいのが岡山エリアだった」

バイオ燃料の先進地、岡山へ。一方、調達コストはまだまだ高く、今後の課題となりそうです。

(JR西日本岡山支社 林秀樹支社長)
「特別な機械を用意しなくても従前型の機関、給油設備を置き換えることなく使えるメリットがある。燃料調達コストは社会の機運とともに低下することも期待。営業列車での使用がきっかけになれば世の中のためになると思う」

JR西日本はこうした取り組みを通して、2050年にはグループ全体で二酸化炭素排出「実質ゼロ」を目指します。

岡山放送
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