再開発などの建設ラッシュを支えている、海外から来た若い労働者たち。現場では、作業員の間で暴力沙汰などのトラブルも発生している。言葉や文化の壁を乗り越え、日本経済を支える海外の若い働き手と共に働くことができるのか。解決策を探った。
「踏みつけられた」訴える男性
日本で働くベトナム人を支援するNPO法人には、毎日10件から40件ほどの相談がある。不当解雇や、職場でのパワハラやセクハラ被害など、映像とともに相談が寄せられることもあるという。
提供された映像には、ベトナム人と日本人作業員のやり取りが映っていた。
撮影者:
なんでそんな踏んだ。踏んだらだめだろ。
撮影したベトナム人の同僚が問いただすと…。
日本人作業員:
帰れベトナムにこの野郎本当に。日本語わかんねえんだったら。なあ。日本の決まりわからないんだったら日本に来るんじゃない。なあ?それともおじさんとやるか?

動画には映っていないが、ベトナム人の男性が日本人作業員に「踏みつけられた」と訴える会話が記録されている。

私たちは、踏みつけられたと主張するベトナム人男性に話を聞くことができた。
男性:
胸の上を踏んだ。
記者:
1回?2回?

男性:
1回です。息ができない。痛いです。なんか、胸全部痛みが…。

病院を受診すると、胸の骨が折れていたことが判明。3週間の治療が必要と診断され、警察に被害届を提出した。
「100%悪いと思っていない」
なぜこのような事態になったのか――。
取材班は、動画が撮影された北海道の建設現場へ向かい、当時の様子を知る現場の責任者に話を聞いた。
トラブルが起きたのは、昼休み中の作業員の休憩所。睡眠をとる人もいる中、ベトナム人の男性が寝転がりながらスマートフォンで通話を始めた。
これが「マナー違反」だとして、日本人作業員の男性が激怒したという。

トラブルの発端となった、休憩所でのスマホ使用。
被害を訴えるベトナム人男性は、休憩所での「スマホマナー」については、貼り紙などもなく、認識してなかったと話す。
男性:
うるさいのだめとか写真(貼り紙)があるとすぐわかる。けど前の(被害を受けた)事務所ではないから大丈夫と思いました。
私たちは、ベトナム人男性を踏みつけたとされる日本人作業員の男性にも直接話を聞こうと試みましたが、取材することはできなかった。

しかし、その後、本人から着信があり、電話での取材に「確かに行き過ぎた部分もあって、非もあるとは思うけど、100%自分が悪いと思っていない」と語った。
求められる現場でのケア
支援団体の代表・吉水慈豊さんは、映像を見た際の衝撃を「ただごとではないなと思って」と振り返る。

支援団体は11月、暴行事案があった現場の元請け企業を訪問し、再発防止を要請した。
吉水さん:
トラブルってほとんど言語の問題になるので、できるだけ技人国という在留資格の若者で通訳として管理サポートをしたらどうですかと提案してきました。
吉水さんは、複数の下請け業者が出入りする建設現場では、元請け企業によるフォローが重要だと指摘する。
