北朝鮮による拉致被害者の救出を訴える『国民大集会』(11月3日開催)に出席した高市首相。就任2日後に被害者家族と面会した際には「日朝首脳会談に臨む覚悟はできている」と話していたが、国民大集会では北朝鮮側に首脳会談を打診したことを表明。解決への意欲を改めて示した。

『国民大集会』高市首相あいさつ全文

高市早苗でございます。国民大集会の開催にあたりましてご挨拶を申し上げます。

高市首相
高市首相
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10月23日、拉致被害者家族会および救う会の皆様と官邸でお会いさせていただきました。ご家族の皆様からは、いまだ肉親と再会することができないその苦しみや拉致被害者の帰国実現まで諦めないという切実な思いとともに、もう時間が残されていないという切迫感も伺い、私からもこの内閣における拉致問題の解決に向けた決意をお伝えいたしました。

2002年に5人の拉致被害者の方々が帰国されてから23年が経ちました。残された拉致被害者たちのご帰国が1人として実現していないということにつきましては、申し訳ない限りでございます。政府としては改めて重く受け止めております。

大切なお子様を抱きしめることなく亡くなってしまわれた親御さんの無念やご家族の皆様の焦りを胸に、認定の有無を問わず、すべての拉致被害者の一日も早いご帰国の実現に向けて心血を注いでまいります。

とりわけ拉致問題解決のためには、我が国が主体的に行動するということが何より重要でございます。拉致被害者の方々の命と国家の主権がかかったこの問題に対して、私は手段を選ぶつもりはありません。

すでに北朝鮮側には首脳会談をしたい旨、お伝えをいたしております。そして、この拉致問題が解決すれば、そこから我が国のみならず北朝鮮もまた、そして国際社会も大きな利益を得ることになります。

一刻の猶予もないこの問題をご家族がご健勝でいらっしゃるうちに解決をするということは、日朝双方がともに平和と繁栄を享受する未来を描くためにも不可欠でございます。

この日朝の互いに実りある新たな関係に向けて、金正恩委員長と首脳同士で正面から向き合い、私自らが先頭に立って様々な状況に応じて果敢に行動するということで、具体的な成果に結びつけたいと考えております。

あらゆる選択肢を排除せず、私の代で何としても突破口を開き拉致問題を解決したい、その決意に満ちております。

我が国としての働きかけと同時に、拉致問題の解決に向けたチャンスを生み出すためには、国際社会との間での緊密な連携も不可欠でございます。

去る10月28日には、先ほどお話が出ておりました通り、訪日された米国のトランプ大統領およびルビオ国務長官にご家族の皆様と面会をしていただき、肉親と再会できない悲痛な思いを共有していただきました。

また、先週のASEAN関連首脳会議、そしてまた、韓国で行われましたAPEC首脳会議の機会には、各国の首脳に対しまして拉致問題への理解と協力を求めてまいりました。

10月に所信表明でも述べました通り、拉致問題はこの内閣の最重要課題でございます。本日、この集会を通じて日本国民の一致団結した強い思いが示されるということは、問題解決に向けた大きな後押しになるんですね。

ぜひとも私たちの声が国際社会を動かし、そして、北朝鮮を動かすことにつながっていくよう願っております。

多くの皆様方の力強い後押しに心から感謝を申し上げますとともに、本日改めてお聞かせいただきましたご家族の皆様の切実な思いや痛切な声を胸に、何としても拉致問題を解決すべく私自身が先頭に立って、真っすぐにこの問題に取り組んでまいります。

このことを本日の国民大集会にあたって今一度お誓いを申し上げますとともに、皆様のご健勝を祈念申し上げます。誠にありがとうございました。

北朝鮮へのアプローチを明言 高市首相に高まる被害者家族の期待

拉致被害者・横田めぐみさんの弟で家族会代表の橫田拓也さんは「高市首相に全幅の信頼を置いている」と話し、母・早紀江さんは「本当に信念を持って『解決する』と仰って下さることに心から感謝している」と述べるなど、高市首相に対し大きな期待を寄せている。

横田めぐみさんの母・早紀江さん 弟・拓也さん
横田めぐみさんの母・早紀江さん 弟・拓也さん

歴代首相が“最重要課題”としてきた拉致問題だが、被害者家族はこれまで、北朝鮮との交渉について政府から具体的な情報を知らされることがなかった。

「何も分からない」ことが家族にとっては苦痛であり、「進捗だけでも知りたい」というのが切実な願いだった。

それゆえに、「日朝首脳会談をしたい旨を伝えた」と北朝鮮へのアプローチを明言する首相の言葉は、かつてないほど心強いものだったに違いない。

ただ今回、高市首相は北朝鮮側の反応を明かしておらず、金正恩総書記を交渉のテーブルに導くまでの道のりは依然として不透明だ。

高市首相は、これまでの力強い言葉を実現に移すという大きな使命を負っている。

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NST新潟総合テレビ
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