2025年3月の発売直後からSNSで話題となった英語学習本『見るだけでわかる‼ 英語ピクト図鑑』(マーク著)。発売4日後にはAmazonの本の総合ランキングで1位となり、TBS系の「THE TIME,」や「Nスタ」などテレビでも続々と取り上げられ、英語学習本としては異例の発売5カ月という早さで15万部を突破しました。
楽天ブックスの 2025年上半期ランキング(語学書部門)で第1位となるなど、“いま一番売れている英語学習本”が生まれたきっかけやこだわりについて、担当編集の工藤隆宏さんに話を聞きました。
英語嫌いな中1の息子のひと言が企画の始まり
――この本を企画したきっかけを教えてください。
工藤隆宏(以下、工藤) たまたまXを見ていたら、本書の著者であるマークさんが英語の時制をピクトグラムで図解した投稿が流れてきたんです。それを見て、「おもしろくて、わかりやすい!」と思ったのが最初です。マークさんが英語コーチをしながら、毎日、英語の解説スライドをXに投稿していたことも、そのとき初めて知りました。
ちょうど、うちの息子が中学1年生で英語の勉強を始めた頃だったのですが、残念ながら息子は英語が大嫌いと公言しておりまして(笑)。そこで英語嫌いの息子に、その英語の時制のピクトグラムを見せてみたら、「これならわかるかも」と反応がよかったんです。
それで、ピクトグラムで英語を解説する本なら、英語が苦手な人でも手に取ってもらえるかもしれないという小さな確信が生まれ、本書の企画がスタートしました。
あと、マークさんのこの英語の時制の投稿は、実業家のひろゆきさんが「これ、役に立ち過ぎて凄い。英語の教科書に入れさせて貰った方がいい」とリポストして、30万いいねがつくほどバズっていたんです。たまたま僕は、以前にひろゆきさんの著書を担当していたので、ひろゆきさんのこのコメントを帯に載せたら訴求力がありそうだ、という皮算用もありました(笑)。
Amazonランキングの100位中15冊が英語学習本
――工藤さんは、これまでに英語学習本をつくったことはあったのですか?
工藤 じつは英語学習の本をつくるのは、今回が初めてだったんです。これまで、ビジネス書や実用書、ムックなどさまざまなジャンルを手がけてきたのですが、英語の本は初めてでした。
企画を詰めていくにあたり、近年の英語学習本を調べ直してみたのですが、とくにヒットしたものは「語源図鑑」シリーズや「こあら式英語図鑑」シリーズをはじめイラストで英語を解説しているものが主流なんですよね。
ただ、ピクトグラムで英語を解説している本はほぼなさそうだったので、1冊まるまるピクトグラムで英語を解説する本なら類書との差別化が明確にできて、読者にも新味を持って受け止めてもらえるのではと考えました。
あと、類書のリサーチしてみてわかったのは、いま英語学習本がブームと言えるほどニーズがあることです。
たとえば、Amazonの本の総合ランキングを見ると、英語学習本がつねに100位中15冊前後ランクインしているんです。1つの専門ジャンルが15%を占めているのは他のジャンルではまずないと思うので、かなり根強い需要があるとわかったのも後押しになりました。
ピクトを活かすための誌面のこだわり
――初めて英語学習本をつくるにあたって、大変だった点やこだわった点はどこですか?
工藤 一番こだわったのは、誌面の見せ方です。まずはピクトがメインの本なので、ピクトが一番目立つ誌面にすることを心がけました。
ピクトはイラストよりも情報量が少ないので大きすぎてもスカスカの印象を与えてしまうんです。そのため、1見開きに何単語入れるのがベストか、デザイナーさんにレイアウト案を何通りも出してもらいながら決めていきました。
あと、例文や発音記号を入れるかなど、1見開きの情報量をどれくらいにするかという点はかなり悩みました。近年の類書を見ると、一昔前と比べると見開きの情報量がかなり少なくなっているので、なるべく詰め込み過ぎないように、いかに情報量を減らして、手に取ってもらいやすくするかも意識した点です。
対義語や類義語など誌面パターンも複数あったので、デザイナーさんにはかなり多くフォーマットデザインをつくってもらいました。
あと、大変だったのは、ピクト作成ですね。マークさんはXの投稿ではフォトストックの画像を使っていたのですが、それだと単語の意味にぴったりのピクトがないものもあったんです。
そこで、今回はすべてのピクトをイラストレーターさんに1から描き起こしてもらいました。約1000点という膨大な量だったのですが、イラストレーターさんが短期間で描き上げてくれたおかげで、なんとか3月に発売することができました。
1日でAmazonだけで6000冊売れた
――現在、15万部とのことですが、発売当初から売れたのでしょうか?
工藤 発売前から著者がSNS上の英語コミュニティで情報発信をしてくれたおかげで、発売当初からふだんの新刊よりも売れ行きは好調でした。ただ、一気に跳ねたのは、テレビでの紹介がきっかけでした。
TBS系列の朝の情報番組「THE TIME,」の「マーケティング部」というヒット商品を取り上げるコーナーで、本書を12分間にわたって特集してくれたんです。事前にAmazonにはかなりたっぷり在庫を用意していたのですが、番組放送後30分で在庫切れになりまして。結局、その日はAmazonだけで6000冊以上売れて、すぐに大増刷が決まりました。
この番組のディレクターに言われて印象に残っているのが、「ピクトグラムはテレビと相性がいい」という指摘です。ピクトグラムは視覚的なので動画で展開がしやすいという意味で言われたのですが、実際、その後もいくつかのテレビやネット番組で取り上げてもらえたので、ディレクターさんの言う通りでした。
文字よりもピクトのほうがニュアンスがつかめる
――ここまで多くの人に手に取ってもらえたヒットの要因は何でしょうか?
工藤 いろいろな要素があると思うのですが、一番ベースにあるのはやはり「英語をピクトグラムで見せるおもしろさ」だと思います。
よく本書がどんな本かを説明するときに使っているのが、look、see、watchの違いです。
3つとも日本語では「見る」という意味ですが、じつはそれぞれ使い方やニュアンスが違います。lookは「目を動かして見る」という意味で、seeは「視界に入ってきたものを見る」、watchは「テレビやスポーツをじっくり見る」という違いがあるんですが、意外と大人でも説明できないんですよね。
ただ、これを文字で説明されてもなかなかパッと覚えられないと思うのですが、ピクトで表すとニュアンスの違いが視覚的につかめるよねというのが本書のコンセプトです。
こうした似た意味の類義語や、セットで覚えられる対義語、中学英語でつまずきやすい時制や前置詞の使い分けなど、日常生活や仕事で使うような英語をピクトでわかりやすく解説した点が、今までと違う英語学習本として受け取ってもらえたのかなと思います。
著者はじつはTOEIC280点の“英語難民”だった
――読者からはどんな反響がありますか?
工藤 おかげさまで、老若男女の方々からたくさん反響を頂いています。ボリュームゾーンは40~50代で、男女比は4:6ぐらいです。
感想で一番多いのは、「自分も学生時代に英語が苦手だったから、当時、こういう視覚的に解説した本があればもっと英語を好きになったかもしれない」という声です。これは、この本を編集した僕自身もつくりながら感じていたことなので、とても嬉しい感想でした。
じつは、本書の著者のマークさんも、今でこそTOEICで940点をとって英語コーチをしていますが、学生時代は英語が苦手だったそうです。学生時代の英語の成績は平均点かそれ以下で、社会人になってからもTOEICでも990点中280点という“英語難民”でした。
でも、あるとき中学英語レベルの英文法から学び直しを始めたら、学生時代にはわからなかった「be動詞」や「品詞の機能」などがわかるようになって、どんどん英語の勉強がおもしろくなったそうです。
「この本を機に英語が好きになりました」
工藤 そんな英語が苦手な人の気持ちがわかるマークさんだからこそ、英語嫌いでも楽しく、視覚的に学べるピクトグラム解説を思いついたのだと思います。
ピクトグラムによる解説は文字で学ぶよりも直感的に意味が理解できるので、子どもでも読める点が多くの人に手に取ってもらえている要因かなと思います。実際、10歳の小学生の男の子から、「この本を機に英語が好きになりました」という嬉しい感想も頂きました。
企画当初からマークさんとも「英語が苦手な人も楽しく学べる本にしたい」と話していたので、少しでもそういう人たちの役に立っていれば本望です。今後も英語が苦手な人や学び直しをしたい人に向けた続編を出せればと準備していますので、またピクトグラムを使った新たなアプローチで英語を学べる本をお届けできたらと思います。
ジュンク堂南船橋店
◆書誌情報
『見るだけでわかる‼ 英語ピクト図鑑』
著者:マーク(村木幸司)
発行:プレジデント社
発売:2025年3月17日
定価:1600円+税
仕様:A5判 オールカラー 224ページ
ISBN:978-4-8334-2559-9
https://presidentstore.jp/category/BOOKS/002559.html
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/4833425599
楽天ブックス:https://books.rakuten.co.jp/rb/18162277/
◆著者プロフィール:マーク(村木幸司)
英語コーチング協会認定コーチ。
大手自動車メーカー勤務時代に、英会話教室でネイティブ講師に英語を習うも、ろくに会話もできず、TOEICは毎回300点台。しかし、英語の基本文法を学び直したところ英語学習に目覚める。TOEICのスコアも劇的に伸び、その英語力を活かして海外出張や海外駐在を経験。現在は脱サラして、英語コーチング協会認定コーチとして、基本英文法やTOEIC対策をオンラインで教えている。X(旧Twitter)でのピクトグラムを使った英語解説が話題になり、フォロワーは6万人以上。
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