新潟県が入院機能を持たない無床診療所とする方針を示している県立松代病院。地元住民が県に入院機能の存続を求め、署名を提出した。一方で、関東甲信越医師会連合会は、物価高騰などにより医療機関の経営が危機に陥っているとして、国に診療報酬の改定や補助金による緊急支援策を要望する決議を採択した。
過去最大の赤字で経営改革急ぐ…県立松代病院を“無床診療所”に
県立松代病院の入院機能の存続を求め、県に1万6310人分の署名を提出したのは、県立松代病院を守る会のメンバーだ。

県立病院をめぐっては、病院事業の純損益が24年度、過去最大となる46億円の赤字に。
経営改革を急ぐ県は、入院患者の減少が続く県立松代病院を26年4月に、入院機能のない無床診療所とする方針を決めている。
“入院機能の存続”求める守る会に病院局長「再編に理解を」
署名の提出後、病院局の職員と面談した守る会の女性は「患者と医師、そこで仕事をする人たちとの信頼関係がとてもある」と主張。

冬の大雪について触れた男性は「病気の身になって、この雪の中をどうするのか」と訴えた。
こうした訴えに対し、金井病院局長は、医師不足が特に深刻だと強調した上で、「病院をなくしたくないという思いで今回の再編に取り組んでいる」と理解を求めた。
守る会の村山繁一会長は「署名を集めに行っても『ありがとう』と言われ、感謝される。それだけ病院のことに皆さん神経をとがらせている。何とか残してくれという気持ちの表れだと思っている」と話す。
「経営危機」関東甲信越医師会連合会 “緊急支援策”求める決議採択
一方で、病院経営をめぐって苦しんでいるのは、県立病院だけではない。
1都9県で構成する関東甲信越医師会連合会は「物価や賃金水準などの上昇により、医療機関は極めて厳しい経営状況に陥っている」として、診療・介護報酬の改定や補助金による緊急支援策の実施などを求める決議を採択した。

堂前洋一郎会長は「地域住民を守るため、良い医療を提供するためにも我々は声を大きくして、経営危機であると訴えていかなければならない」と強調。
また、堂前会長は「医療機関を救うことが国民のためになるとして、患者負担の協力を求める広報にも力を入れていきたい」と話した。
地域の医療をどう守っていくのか…日本の医療は岐路に立たされている。
(NST新潟総合テレビ)