鹿児島・日置市に「資源循環プラザ アクロスひおき」が誕生した。日置市という自治体のごみ処理施設でありながら民間企業が運営するという、県内初の民設民営型施設で全国的にも珍しい。2025年10月から本格的に稼働し、循環型社会構築の担い手として注目されている。
老朽化した公営施設に代わる新たな拠点
従来の公営リサイクル施設が老朽化した日置市では、新たな施設整備にあたり公募を実施した。その結果、整備と運営を担うことになったのがリサイクル事業などを手がける丸山喜之助商店グループ(本社・日置市伊集院町)だ。総事業費は20年間の運営費を含めて58億円にのぼる。
「資源循環プラザ アクロスひおき」では、日置市内の家庭から出る資源ごみ、不燃ごみ、粗大ごみなどを受け入れ処理する。集められたごみは施設内で細かく砕かれ、専用のラインを通って大きさや種類ごとに選別される仕組みになっている。

最新技術を導入した効率的な選別システム
この施設の特徴は、最新の選別技術を導入している点にある。
光学選別機と呼ばれる最新機器は、センサーによって金属やプラスチックなどの素材を自動的に判別し、無人でごみを振り分ける機能を持つ。このような先進的な設備が導入されたのは、リサイクルのノウハウを持つ民間企業が運営するからこその強みだという。

従来の施設と比べリサイクル率は15%の向上が見込まれており、地域の新たなリサイクル拠点として大きな期待が寄せられている。
行政と民間の連携による環境施策の推進
日置市の永山由高市長は、「これまでは市の直営だったリサイクル施設を民設民営という形で、民間企業の知恵・経験・ネットワークをフルに活用して推進できるのは大きな後押し」と、民間企業のノウハウを活かした施設運営に期待を寄せている。
一方、運営を担当する丸山喜之助商店の丸山明紀社長は「日置市民に『ここにあってよかった』と言ってもらえる施設運営が非常に大事。今は喜びと気が引き締まる思いでいっぱい」と語り、地域に貢献する施設を目指す決意を表明した。

新時代のリサイクル拠点としての挑戦
「資源循環プラザ アクロスひおき」の稼働は、自治体のごみ処理における新たな取り組みとして注目される。従来の公営施設とは異なり、民間企業のノウハウを生かした効率的な運営と、最新技術による高度なリサイクル処理が期待されている点が特徴だ。

この施設は単なるごみ処理施設ではなく、施設名に「資源循環」とあるように、廃棄物を適切に分別・処理し、再資源化するという循環型社会の構築に向けた重要な役割を担っている。
日置市民のみならず県内、県外から注目されるこの新施設が、今後どのような成果を上げていくのか、その展開に期待が寄せられている。
(動画で見る:日置市に民営リサイクル施設が完成 「資源循環プラザ アクロスひおき」 自治体のごみ処理施設としては県内初 丸山喜之助商店グループが整備・運営)