高松市の不動産管理会社が魚と植物を同じシステムで育てる新しい農法を活用した取り組みをさぬき市で始めた。世界が注目する「持続可能な循環型農法」で異業種に参入する。
◆「キャビア」でおなじみ・コチョウザメが泳ぐ水槽の“お隣さん”はイチゴ栽培部屋
水槽の中を泳ぐのは、チョウザメの一種、コチョウザメ。その卵は、世界3大珍味の一つ、キャビアに加工される。
隣の部屋には、イチゴを栽培する棚が並んでいる。高松市の不動産管理会社、あなぶきハウジングサービスなどがさぬき市に開設した「あなぶきさぬき市鴨庄プラント」。11月6日に行われた記念式典には、香川県の池田豊人知事らも出席して開設を祝った。
◆水換え不要!農薬不使用!世界でも注目の持続可能な循環型農法「アクアポニックス」
廃園になった幼稚園を活用した施設では、「アクアポニックス」と呼ばれるアメリカ発祥の新しい農法を活用してコチョウザメとイチゴが一緒に育てられている。
「アクアポニックス」では、魚の排せつ物をバクテリアが植物の栄養素に分解し、植物は、それを養分として成長する。
養分吸収後の水は植物によって浄化され、再び魚の水槽に戻る。水を捨てたり、換えたりする必要がないうえ、農薬なども使わないことから持続可能な新しい循環型農法として世界でも注目されている。
◆「アクアポニックス」導入のポイントは「タイパ」と「コスパ」
さらには、アクアポニックス導入によって栽培期間の短縮のほか、生産性の向上やコストの削減も図れるというのだ。
「あなぶきさぬき市鴨庄プラント」開設企業の一つ、あなぶきハウジングサービスHGの香西秀紀経営戦略本部長は「魚には餌をやるだけ。イチゴも何か特別な栄養素を加えることはない。葉っぱの間引きぐらいの作業で成長するのでそういったコストも下がっている」と、導入によって魚と植物を同時に、効率的に育てられるメリットを説明する。
◆廃園になった幼稚園で新業種に参入 目指すは5年後の「キャビア」出荷
あなぶきハウジングサービスHGの「アクアポニックス事業」は、農業への参入を考えていたあなぶきハウジングサービスが技術を提案した新潟県の企業と手を組んで実現したもので、四国では初めての取り組みとなる。
また、廃園になった幼稚園を利用することで「少しでも地域の活性化に貢献できないかという思いがあった」と香西さんは語った。
世界が注目する新農法を引っ提げての異業種参入。あなぶきハウジングサービスでは、イチゴは2026年2月、コチョウザメのキャビアは5年後の初出荷を目指す。
(岡山放送)