俳優の大東駿介さんが、訪れた街のうんちくや、まだ地元住民にも知られていないような魅力を探す「発見!てくてく学」。
今回の舞台は京都市の太秦(うずまさ)です。
太秦は、「日本のハリウッド」とも呼ばれる映画の街。
【大東駿介さん】「『大映通り商店街』いいですね。京都で撮影ってなると長い時やったら3カ月ぐらい京都に滞在して。最初は電車乗ったりして来るんですけど、ホテルから自転車借りて、この辺は自転車で走り回ってるところですね」
大東さんにとっては、この街には数々の思い出が詰まっています。
自転車で撮影所を行き来し、時には全身泥まみれになって、地元の銭湯「天山の湯」で汗を流す日々があったそう。
そんな太秦エリアを歩いていきます。
■マクドナルドより先にハンバーガーを出した「喫茶店」
太秦には、時代劇の撮影にも使われる名物グルメがあるんです。
【大東駿介さん】「時代劇に使われてるってことは、おにぎりじゃない?逆に!」
違います…。大東さんは気にせず歩いていきます。
そして到着したのは、1968年創業の喫茶店「萩」。
【店主の萩原さん】「大東さん、ここで座ってコーヒー飲んでたん知ってる?」
【大東駿介さん】「え、僕いつですか?僕のサインあるやん!2013年!」
萩は数多くの俳優に愛されてきたレトロな喫茶店。
かつて勝新太郎さんは、このお店のメニューを全部テーブルに並べてスタッフに振る舞ったんだとか。
さらに、松本孝四郎さんが毎回注文するという「やきめし」や、名取裕子さん、竹中直人さんのお気に入りの「ハンバーガー」も名物です。
このハンバーガーは、なんとマクドナルドが日本に上陸する1971年の3年前から提供されているんだそうです。
【大東駿介さん】「めちゃくちゃ美味しい。ハンバーガーに馴染みのない時代にこれ食べたらビックリしますね。最前線の味してる」
パンもドレッシングも60年前から変わっていないという昔ながらの味わいが、今も多くの人を魅了しています。
■時代劇にも登場する絶品「豆大福」
萩の店主に「時代劇に使われる名物グルメ」を聞いてみると、「ふたば」の豆大福という手がかりが!
東映京都撮影所のすぐそばにある和菓子店「うずまさふたば」。
この店の和菓子は、商品がそのまま時代劇の撮影でも使われているんです。
1953年創業のこのお店では、毎日午前2時から店主の神谷さん夫婦が手作りで和菓子を仕込んでいます。
【大東駿介さん】「ちょっと見て、この豆大福の豆」
【神谷さん】「撮影で使うので映えるように大きいんです。どんな角度からでも、お豆が入ってるっていうのが分かるように」
【大東駿介さん】「すごいな。撮影側に歩み寄ってくれてる」
豆大福をいただくと、甘さ控えめの優しい味わいと豆の食感の良さに感動していました。
■元々は撮影専用の店だった!
元々は撮影所で使う和菓子だけを作っていましたが、昭和40年ごろから一般向けにも販売するようになったそうです。
【神谷さん】「周りの皆さんにも買っていただこうということでお店になって」
【大東駿介さん】「逆?このクオリティのものを一般販売してなかったんですか?」
【神谷さん】「本当に忙しくて撮影が…」
水戸黄門に登場するお菓子も全てこの店のもので、全国のお茶屋さんが登場するため、その土地にあった和菓子を依頼されて作っていたようです。
大東さん、あまりの美味しさに豆大福3つ、わらび餅1本を完食。
【大東駿介さん】「全然重くない」
【神谷さん】「こんなに食べてくれはったん初めてかも」
【大東駿介さん】「止め方が分かんないんです」
■老舗竹細工店の看板商品は「青竹踏み」
最後に大東さんが訪れたのは、1877年(明治10年)創業の老舗「竹定商店」。
竹のスペシャリストが素材の育成から製品作りまでを一貫して行っている専門店で、こちらの竹は時代劇でも使われています。
こちらのヒット商品は「青竹踏み」。Amazonで大人気で、年間約1万個も売れているという事実に大東さんも驚きです。
【竹定商店 6代目・井上さん】「ウチの屋台骨これです」
【大東駿介さん】「えー!意外過ぎる」
■竹細工で建物の空間デザインに挑戦
これまで、寺院や庭園の竹垣などを手がけてきた「竹定商店」ですが、現在は新たな挑戦として建物の内装デザインにも力を入れています。
長さ12mもの青竹を約300本使用し、しなやかに曲がる特性を活かした空間デザインは圧巻の美しさです。
【大東駿介さん】「これすごいな!度肝抜かれてるわ!竹のデザインの限界値ってあるかな…と勝手に想像してました」
【竹定商店 6代目・井上さん】「竹はクリエイティブな素材。アイデア次第で色々なものができるのが魅力」
【大東駿介さん】「竹の考え方めっちゃ変わりましたね。時代劇とか見てても景観に竹の細工っていうのは欠かせないものですけど、現代にあれだけ落とし込めるんだなっていうのが、竹のしなやかさをあれだけデザインに落とし込んでるってすごいですよね」
伝統技術を継承しながらも、現代のデザインと融合させた新たな可能性を追求する竹定商店の取り組みは、日本の伝統工芸の未来を感じさせてくれます。
京都・太秦の街には、映画文化と共に歩んできた数々の名店や職人の技が今も息づいていました。
(newsランナー「大東駿介の発見!てくてく学」2025年9月18日放送)