仕事での長期滞在をきっかけに秋田県大館市に移住し、宿泊施設を運営している夫婦がいます。秋田犬と暮らし、比内地鶏の飼育も始め、大館の特産品を全国に広めたいと奮闘しています。

大館市白沢の宿泊施設「としょ木漏れ日」。

古民家を改装したこの施設の運営を担うのは、大館市の地域おこし協力隊員でもある佐藤大紀さんと叶子さん夫婦です。

東京都出身の大紀さんと青森県出身の叶子さん。プラント設備のエンジニアとして首都圏で働いていた大紀さんは、工場の新設工事に関わって2023年4月から2024年7月まで叶子さんと大館市に長期滞在しました。

その時に運命的な出会いがありました。

佐藤大紀さん(25):
「秋田犬にほれてしまって、東京に戻る際に秋田犬を連れて帰ったが、転職して農業をやりたいなと思い、色々探しているうちに大館で地域おこし協力隊をみつけた。1年間住み、よく知っている場所だし、秋田犬にとってすごく住みやすい環境なので、再度大館に行こうと決断した」

佐藤さん夫婦が運営する「としょ木漏れ日」は、元々地域の人が集まっておしゃべりしたり本を読んだりできる民間施設として、2019年に開設されました。2025年4月に夫婦で事業を継承すると、これまでの交流拠点としての機能に加えて、農業体験や宿泊ができる「農泊」を始めました。

施設では2匹の秋田犬が訪れた人を迎えてくれます。ゆったりとした性格の虎毛の雄「お殿水(とのみず)」と、元気いっぱいな赤毛の雌「甘露甘露(かんろかんろ)」です。

佐藤叶子さん(28):
「秋田犬を2匹飼っているので、秋田犬がいたり、きりたんぽ作りができたりと、秋田を感じられたらいいなと思う」

叶子さんは現在、ペットの飼育に関する資格を勉強中で、今後2匹の秋田犬とのふれあい体験をできるようにするのが目標です。

一方、元々農業に憧れを抱いていたという大紀さんは、大館市での生活で「比内地鶏」を飼育したいと思うようになりました。農泊では、きりたんぽ作りや野菜の収穫のほか、比内地鶏の餌やりなども体験サービスに盛り込んでいます。

佐藤大紀さん:
「比内地鶏の良さは、先人たちのおかげでブランド力があること。一羽にかけられる労力も上がってきて、自分の納得できる、世に出して恥ずかしくない比内地鶏を向き合って作っていきたい。そして何よりもおいしい」

佐藤さん夫婦の地域おこし協力隊の任期は3年。この間に比内地鶏の飼育や流通などについて学び、任期終了後には比内地鶏農家として新規就農したいと意気込みます。

佐藤叶子さん:
「3年後までに比内地鶏の勉強をして、生産者としての技術を身に付けたり、準備を進めたりしたい。個人的には秋田犬をPRしていきたい」

佐藤大紀さん:
「大館の特産品である秋田犬と比内地鶏ときりたんぽ。われわれの力で今以上に全国に広めていくのが今の目標」

大館市が誇る特産品に大きな可能性を見出し、2人は夢に向かって走り続けます。

秋田テレビ
秋田テレビ

秋田の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。